皆さん、こんにちは! 元・タジュウです。
本サイトで「法的債務整理」について自分の情けない体験談を元に色々と解説させて頂いております。他のサイトとの違いは? 自虐的で「面白い」。やたらと条文を並べたりはしないので「分かりやすい」。うぬぼれすぎ?
さて、付随してお金に関するコラムもこのようにご提供しております。もう少し広い視点の話が多く、法的債務整理とガッツリ・直接は関係無いかもしれません。が、根底にある「テーマ」のようなものがあります: お金が全てではナイ。お金で何でも手に入ると思うからお金にこだわり(私もそうでした)、借金に巻き込まれたり、そうでなくてもお金のためにあくせく働いてしまったりする・・・。その点を一度考えていたくのが狙いです。そういう意味では借金・法的債務整理とも関係がある。
さて、私は金融で失敗した金融学者ですので、今回は「金融理論」という学問の神髄(?)について語ってみたく思います。
お金の話なのに何だかとっても美しい部分がある・・・。その一端を味わって貰いたいのです。
ハッとした瞬間
金融理論に、「ブラック・ショールズ方程式」というものがあります。これです:
\[ rC = \frac{\partial C}{\partial t} + \frac{1}{2}\sigma^2 S_t^2 \frac{\partial^2 C}{\partial S_t^2} + rS_t \frac{\partial C}{\partial S_t} \]
ぐわーっ! 意味不明過ぎる。あまり数式を出さない方針ですが、たまに持ち出して読者を驚かして(脅かして?)みました!
ブラック・ショールズっていう名前は聞いたことがある方も多いかもしれません。「オプション」の価格算定に使う式なので、身近にある博打かどうか微妙なFXとかにも実は関係してます。
この式が何を意味しているかここでは詳しくは解説しませんが、興味がある方はこちら(ウィキですが、きっちり解説されています):
さて私はこの見事な式を導出した論文を実際に何度も読んでおりますが、京大の伊藤 清教授(確率論・オペレーション)も関係していたりします。「伊藤の補題」と呼ばれる確率微分方程式が金融に応用されていますが、「金融のために作った覚えは全然ナイのう(知らん)」という発言が知られています。
この方について詳しくは:
ここではこの式の意味を解説することがテーマではありません。確率微分方程式というのは数学の中でも並の勉強量では理解出来ません。一流大学の工学部卒ぐらいでは理解出来ない・歯が立たないような難しさです。
私は文系なのにそれを分かる、と自慢するのが目的でしょうか? それも一つ。
が、「お金の話なのに何故か美しい・・・」と感じたのはまずコレが一つ、だとご紹介したかったのです。
私はエリートを目指して米国一流校にMBA留学しています。それでこけて、アル中 & 多重債務に苦しんだ。この下りは本編の三部作ストーリーで解説しています。
今振り返ると、金融や会計を勉強していたのですが、そういうったお金の話を通じて数学や英語「自体」の良さに後で気付いた。経済学・金融理論・会計学が専攻ですが、究極カネの話なんでどうでもいい。
で、単にカネの話なのにハっとする。こちらについては、式の導出過程が見事過ぎる・美し過ぎると思いました。他の多くの学者もそう言っています。
解説はしませんが、何故美しいのか? 物理学で使う式を金融に応用しているからです。これを導出したブラック氏は元々ハーバードの超一流数学者 & プログラマー・物理学者でした。だから金融分野でも一番難しく誰も解けなかったこの問題をうまくまとめることが出来た。
金融が美しいというより、実は物理学にある「根本的な式の一つ(熱に関するもの)」を応用しているから、美しい。
オプションの式の解法はホントに何だかコワいぐらい美しい、或いは見事なのですが・・・。
「式自体の解説」はしませんよっ! 抽象的で禅問答みたいになるので。「形が違って見えても実は同じである」とか、「実際には存在しない疑似確率を考える」とか、本当に禅問答になります。
ここでは私が触れた、汚いお金の話(高給取りで虚業のウォール・ストリートに代表される)の中にある美しいものに触れた瞬間があった、とご紹介したかっただけです・・・。
他にもありますので、以下はガッツリ解説させて頂きます! これらもちょっと禅問答気味になりますが、数式はほとんど要らないので、なるほど(!?)・・・とある程度お分かり頂けるとかと。
そもそも金融理論って
学問として
また前置き。前置きが好きな私。
金融理論(英語ではファイナンス)という学問は色々多岐に渡っており、一口でこれはこういうもんだ! とは言えません。経済学と会計学の「間」に位置する感もあり、中途半端感もあります。
少し勘違いされているのは、これを勉強すると投資がうまくなって金が儲かる! と思われていることです。
そんなことはありません。勉強するだけで投資の名人になれるなら皆しちゃいます。投資の達人のウォーレン・バフェット氏を考えてみます。この方は「天性の勘」があるから名人なので、別に金融理論を勉強したからそう、ということではないのだと思います。
この方についてはこちら:
じゃあ何なの? 企業や市場の「仕組みをお金の流れを通じて理解する」学問です。逆に言うと単にそれだけ。投資がうまくなるためのモノという見方もありますが、実はそうではない。
じゃああんまり意味ないのか・・・。
実務的に
では、投資がうまくなるわけではないなら何でエリートを目指してこれを勉強する人が多いの? との疑問が沸きます。ウォール・ストリートですね。悪名高いゴールドマン・サックス等のエリート投資銀行マンへの登竜門がMBAのファイナンス。ハーバードでも、会計学で名高い私の母校でも(言いませんが、どこでしょう?)。
「投資銀行」が何をしているか、少しご解説すると金融理論の「実務的」或いは「世俗的」な意味が何となくお分かりになるかもしれません。
投資銀行 = インベストメント・バンクと聞くと、「投資をする」会社のように思えます。少しは自分でもするのですが・・・。実はそうではナイ!
投資銀行とは、自分で投資する会社ではなく(ファンドはそう)、「他人に投資させる」会社のことを謂います。人に投資させて自分はせず(自分ではリスクは取らず)、フィーをかすめ取るのが投資銀行です。そのために金融の仕組みの理解が要るのでMBA。虚業エリート達の世界、学会とウォール・ストリートのつながりはこんな感じになっています。
「他人に投資させる」とは? もう少し具体的に。ある会社に別の会社を斡旋して「買わせて」莫大な手数料を取る。M&Aです。お見合いのマッチメークみたいなもんだ(結婚した後は知らん)。自分で買うのではなく他人に買わせる。IPOもそうです。上場を斡旋して、他人に株を「買わせて」フィーをがっぽり。自分では基本買わない。買わせてかすめ取る。これが投資銀行。
その虚業のエリート投資銀行マンを目指して見事失敗し、過労の燃え尽きからアル中(キャバクラ中毒)になって多重債務者になり、自己破産でようやく切り抜けた愚か者を一人知っています。誰でしょう?
誰だ!?
ちなみにM&AやIPOについては(それで成功はしませんでしたが)実務的にも異様に詳しいので、別稿で改めてご解説したく! ちょっとエクセルの計算とかも出してみよう(記事に貼り付けて読者を少し脅す。いや、驚かす)。
泥土に咲く蓮
やっぱドロドロで汚いんだ。何でもカネ、で。カネ、カネ、カネがファイナンスなのか。
そうです。それがウォール・ストリートです。
そんな泥土の中にも、これは・・・と思われる美しい蓮の花が咲くことがあります。上述のブラック・ショールズが一つ。これは頭が痛くなり過ぎるのでさわり(数式の「雰囲気」)だけにおしておきました。
さて、実際には厳密・数理的に示されているのですが、数式を持ち出さなくても味わえる美しい定理があります。ノーベル賞も受賞したりしています。
これをセットで2つと1つ、3つご紹介させて頂きます! 美しいというのか、奥が深いというのか。
前提・予備知識として、「バランスシート」(右が調達で左が運用)の考え方をざっくり把握されていると分かりやすいかもしれません。バランスシートが ?? な方は、一つ目は飛ばして二つ目と三つ目だけでも是非!
MM理論
MMって何だ? お菓子の名前か(チョコ系)? マゾ & マゾ(漫才チーム)か??
経済学者の人名、二人の頭文字を取ったものです。正式には「モディリアーニ=ミラーの定理 / 資本構成・配当政策無関連性命題」というタイトルです。
正式に(小難しく)は:
何のこっちゃ。タイトル聞いただけでムシズが走る。やめてくれ~!
となりますが、これを分かりやすくご説明してナルホド感をご提示するのが私の使命。
では!
資本構成無関連性命題
やめろって? 分かってます。でも禅問答っぽくって面白いですよ!
簡単に。ざくっとエッセンスを。
バランスシートを考えます。企業は事業活動をするのにまず手元資金を調達します。バランスシートの右側ですね。これには自己資本(オーナーが突っ込むカネ)と他人資本(銀行から借りるカネ)とざっくり二つあります。右の下が自己資本で右の上が他人資本。
この「調達の割合」が企業の価値に影響を与えるんだろうな・・・。例えば7 : 3 とか。つまり、事業に突っ込むカネを1億円例えば用意するとして、7,000万円は銀行から、3,000万円は自分で、とすると7 : 3。別にこれが6 : 4かもしれないし、銀行から借りることはせず全部自分の財布から出すかもしれません。
「この割合は根本的に関係ナイ」と言ってるのがこの定理です。関係あるな、あるんだろうな、と学会(ハーバードでも) & ウォール・ストリートがずっと言い続けて煩悶していたところを「ナイです!」とばっさり切ってノーベル賞ゲット。
美しいというか気持ちいい。
じゃあ「どう関係無い」の? バランスシートの左を考えます。1億円は1億円です。1億円の札束を、7,000万円と3,000万円の山に分けて同じ部屋の少し離れた所に並べるとします。この山を6,000万円と4,000万円にしてもいいし、1億円の束(一つ)にしてもいい。
どう分けても、部屋(企業という「箱」)にある合計額は1億円です。だから関係無い。
オワリ。凄すぎる。
「パイ」(ピザ)の切り方に喩えることもあります。パイをどこで切ろうと合わせたら一枚分なのは同じ。パイの切り方でパイの総量が変わることはありません!
配当政策無関連性命題
やめろって? 分かってます。でも禅問答っぽくって面白いですよ!
簡単に。ざくっとエッセンスを。
企業活動の結果、儲けが出たら「配当」という形で投資家・オーナーに還元します。
前提として、ややこしいので銀行から借り入れはしておらず、あるオーナーが100%自分で会社を保有しているとします。別に複数でもいいんですが。町のお菓子メーカー(工場)でも何でも。
この「配当の割合」が企業の価値に影響を与えるんだろうな・・・。例えば儲けが100円だったら、そのうち30円(30%)配当として配るのか。或いは40円(40%)なのか。全部出しちゃうのか! ケチだから1銭も配らないのか・・・。
「この割合は根本的に関係ナイ」と言ってるのがこの定理です。関係あるな、あるんだろうな、と学会(ハーバードでも) & ウォール・ストリートがずっと言い続けて煩悶していたところを「ナイです!」とばっさり切ってノーベル賞ゲット。
美しいというか気持ちいい。
じゃあ「どう関係無い」の? また比喩で考えます。「部屋」とか「箱」が分かりやすい。ここではブタさんの貯金箱にしよう。
あなたはそのブタさんの貯金箱を丸ごと持っています。中には100円(10円玉10枚)入っています。いくら取り出しても、中に入れっぱなしにしてもそれはあなたの勝手。何となく30円取り出しました(配当)。中に入っている・残っているのは70円です。中に入れておこうと一部取り出して手のひらにのせようと合計が100円なのは同じ。これが60円が中、40円が外でも合計は100円。10枚全部取り出しちゃった!中は空っぽになりましたが、それでも100円は100円。全部ずっと中に放置しても100円。100円は100円なんです!
だから関係ナイ! バッサリ。そんなの関係ねぇ!
※留意点
「現実的には少し関係ある」でしょう、とも言っています。つまり、税金の効果を考えると両方「その分くらい」は影響が出るんだろう、とサラッと注釈が入っています。配当の方で例を。「取り出す」と10%親(政府)に持って行かれるとします。10円玉2枚、20円出したら、2円(両替がいるかもしれませんが)取られる。なら中に全部貯金箱の中に残しといた方がいいかも・・・。みたいな感じです。
効率的市場仮説
また小難しそうなのがキタ!
小難しくはこちら:
これもバッサリ系です。株式の分析をしても意味がナイ、オワリ。と言っています。恐ろしい。じゃあアナリストって何でいるの? 必要ないわけ?
過去の株価のトレンドを分析してもその後(未来の株価の動き)は単に「ランダム」なんで、意味がナイ。単にあてずっぽう、とまず言っています。いわゆる「テクニカル(けい線)分析」をしても気休めか気まぐれ(当ってもたまたま)に過ぎん、と言っています。
テクニカル分析だけではなく、証券会社とかのアナリストがやる「ファンダメンタル分析(業績分析)」も意味ねぇ、関係ねぇ、と言っています。何故か。もう株価に完全に「織り込まれてる」んで。既に。業績が出た瞬間。だから分析したって無駄だよん。と言っています。
このバッサリ感がコワい。美しいというのか、スゴイ。究極、金融理論が言っているのは、「金融理論って実は意味ないんで~」と言ってるわけです。
※留意点
この意味ない感は、テクニカル分析、ファンダメンタル分析、インサイダー取引と3段階に整理しており、実際的にインサイダー取引だけは意味あるかも(織り込まれてないんで)、ぐらいは言っています。違法ですけどね。
以上、2個 + 1個、3つの「根本的過ぎてコワい」定理をご紹介しました!
法的債務整理の視点では?
いくつかコラムを執筆しておりますが、「お金って何なの?」という根本的な問題を考えてみるのが目的です。
よって、法的債務整理に関する記事なのですが、コラムは直接はそれに関係ありません。
が、冒頭でも申し上げ他のコラムでも言っております通り「お金が全てじゃない」、だからお金にあまりこだわるのはやめましょう! というテーマは一貫しております。
ことこのコラムについて言うと、「マネーゲームは意味ない」ということを金融の奥深い定理が語りかけている気がします。だから、FXとかも単にランダムでギャンブルみたいなもんなんで、はまって多重債務者になるようなバカな真似はやめましょう!
エリート投資銀行マンを目指したりするのは止めた方がいい。とかも言っています。失敗したバカを一人知っているので・・・。
誰だ?
まとめ
金融理論、って聞くと投資がうまくなる学問のように聞こえるが、実はそうではない。気がする。
他人に投資させ、他人のふんどしでガッポガッポ儲けるため「仕組みを知悉」しておく学問、それがカネになるね、というならそう。自分で投資するんではなく人に投資させ莫大なフィーをかすめとるのが投資銀行。その意味で金融をMBAとかで学んでエリート面したいならしろ。しようとして失敗した人間も知ってます(誰だ?)。
逆に、金融理論の根底の根底にあるのは「金融って実は意味はナイ」というメッセージ。不思議ですね。最初のオプションについても実はそんなことを言っていたり(同じモノは同じ。株式とオプションは同じこと、とか言っています)。これは数学の深い知識が要るのでさわりだけで割愛しましたが、MM理論 = 箱理論や市場効率仮説 = 全部ランダムなんで分析しても無駄だよ理論はちょっと哲学的だが、なるほど・・・と思わせる。
マネーゲームに過ぎないんだったら、そう思って投資とかにヘタに手を出して借金をこさえるのはやめましょう。この少し無理なメッセージで法的債務整理にもつなげてみました!
最後に: そんなの関係ねぇ!