債務整理の手続きの流れを図解 — 相談から解決までのステップ

債務整理の手続きの流れを図解 — 相談から解決までのステップ

実際の手続きがどう進むかステップで知りたい方へ
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「相談してから何をするのか」「いつ督促が止まるのか」「手続きはどんな順番で進むのか」——この記事では、債務整理の全体フローを共通ステップと制度別ステップに分けて図解形式でわかりやすく解説します。

債務整理の全体フロー(共通ステップ)

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの制度がありますが、最初の3ステップはどの制度でも共通です。弁護士に依頼してから制度ごとの手続きに分岐するまでの流れを、まずは全体像として把握しましょう。全体の流れを事前に理解しておくことで、「今どの段階にいるのか」「次に何が起きるのか」が分かり、不安の軽減につながります。

ステップ 内容 期間の目安 依頼者がすること
①無料相談 弁護士・司法書士に借金の状況を相談し、最適な制度の提案を受ける 1回(30分〜1時間) 借入先・残高・収入のメモを持参
②依頼・委任契約 正式に依頼し、委任契約書に署名する 相談当日〜1週間 本人確認書類の提出
③受任通知の発送 弁護士が各債権者に受任通知を送付し、督促がストップ 依頼後即日〜3日 特になし(弁護士が対応)
④債権調査・引き直し計算 各債権者から取引履歴を取り寄せ、正確な借金額を確定 1〜3ヶ月 弁護士からの質問に回答
⑤制度別の手続きへ分岐 借金額・収入・財産に応じて最適な制度で手続きを進める 弁護士と方針を最終確認

この共通フローの中で依頼者にとって最も大きな変化は③受任通知の発送です。弁護士に依頼した時点で督促が止まり、返済も一時的にストップするため、精神的にも経済的にもまず一息つくことができます。受任通知の詳細は「受任通知とは?届くとどうなる?届いた後の流れと注意点」をご覧ください。また、3つの制度の違いを先に確認したい方は「債務整理とは?4つの種類と違いを初心者向けにやさしく解説」を参考にしてください。

ステップ1: 相談・見積もり

債務整理の第一歩は、弁護士または司法書士への無料相談です。多くの法律事務所では初回相談を無料で受け付けており、電話・メール・オンライン面談など複数の方法が用意されています。相談では以下の情報を伝えることで、適切な手続きの提案と費用の見積もりをもらえます。

相談時に伝える情報 なぜ必要か 準備のポイント
借入先の数と各社の残高 手続きの方針と費用の見積もりに直結する 利用明細・契約書・督促状を持参すると正確
毎月の収入と手取り額 返済能力の判断に必要(個人再生の可否にも影響) 給与明細の直近3ヶ月分があるとスムーズ
毎月の生活費と固定支出 返済に充てられる金額の計算に使う 家賃・光熱費・保険料などの概算でよい
財産の状況 自己破産の管財事件判定・個人再生の清算価値に影響 持ち家・車・保険・預金の概要を整理
現在の督促状況 緊急性の判断と受任通知の優先順位に影響する 訴状や差押え通知が届いている場合は必ず伝える
希望する解決方法 依頼者の意向を踏まえて最適な制度を提案する 「家を残したい」「返済をゼロにしたい」など

相談は1回30分〜1時間程度で、この段階では費用は発生しません。相談しただけで手続きが始まるわけではないため、「まだ決めていないけれど話だけ聞きたい」という段階でも気軽に利用できます。複数の事務所に相談して費用や対応を比較することも可能です。弁護士と司法書士のどちらに相談すべきかは「弁護士と司法書士、債務整理はどちらに頼むべき?違いと選び方」で解説しています。

ステップ2: 受任通知の発送(督促が止まる)

正式に依頼を決めたら、委任契約を結びます。弁護士は委任契約の締結後、速やかに各債権者に対して「受任通知」を送付します。受任通知とは、「この債務者の代理人として弁護士が就任しました。今後は弁護士にご連絡ください」と債権者に伝える書面です。

受任通知が届くと、貸金業法第21条第1項第9号により、債権者は債務者本人への直接連絡(電話・訪問・郵便による督促)が禁止されます。これは法律上の義務であり、違反した場合は行政処分の対象になります。受任通知の発送から督促が止まるまでの期間は通常2〜5日程度です。

受任通知の効果 詳細
督促の停止 電話・手紙・訪問による督促が法的に禁止される
返済の一時停止 手続き中は各債権者への返済をストップし、弁護士費用の積立に充当できる
窓口の一本化 債権者からの連絡は全て弁護士が窓口となり、依頼者の負担が大幅に軽減される
給与差押えへの対応 既に差し押さえが始まっている場合、個人再生・自己破産の申立により差押えの中止を求められる

受任通知によって督促が止まること自体が、多くの依頼者にとって最大の精神的な救いになります。それまで毎日のように鄔っていた電話が止まり、郵便受けに届く督促状もなくなります。この「静かな時間」の中で、冷静に今後の方針を考えることができるようになるのです。受任通知の詳細は「受任通知とは?届くとどうなる?届いた後の流れと注意点」で詳しく解説しています。

ステップ3: 債権調査・引き直し計算

受任通知の発送後、弁護士は各債権者に対して取引履歴の開示を請求します。これは、借入れの開始日から現在までの全ての取引記録(借入日・返済日・金額・適用金利等)を確認するためです。取引履歴が届くまでの期間は債権者によって異なりますが、通常1〜3ヶ月程度かかります。大手消費者金融なら2〜3週間で届きますが、中小業者や廃業した会社の場合はさらに時間を要します。

取引履歴をもとに行うのが引き直し計算です。これは、過去に利息制限法の上限金利(15〜20%)を超える金利で取引していた場合に、法定金利に基づいて借金額を再計算する作業です。2010年以前に消費者金融から借入をしていた場合、いわゆるグレーゾーン金利が適用されていた可能性があり、引き直し計算によって以下のケースが起こり得ます。

引き直し計算の結果 内容 その後の対応
借金額が減少する 過去の過払い分で残高が圧縮される 減少した金額をもとに手続きを進める
過払い金が発生する 払い過ぎた利息が借金額を上回る場合、返還請求の権利が発生 過払い金返還請求を行い、回収した金額を費用や他の借金に充当
変化なし 適法金利で取引していた場合は残高に変動なし そのまま制度別の手続きの方針を確定する

引き直し計算によって正確な借金総額が確定した段階で、弁護士と相談してどの制度で手続きを進めるかの最終方針を決定します。初回相談の時点では任意整理を予定していたものの、正確な借金額が判明した結果、個人再生や自己破産に切り替えるケースも珍しくありません。この柔軟な対応が可能な点も、専門家に依頼するメリットのひとつです。ここか制度ごとに異なる手続きに進んでいきます。

任意整理の場合の流れ(交渉〜和解〜返済)

任意整理は裁判所を通さず、弁護士が債権者と直接交渉して返済条件を見直す手続きです。3つの制度の中で最もシンプルかつスピーディーで、手続き期間は3〜6ヶ月が目安です。和解成立後に3〜5年の返済期間が続きます。

ステップ 期間の目安 内容
①和解交渉 2〜4ヶ月 弁護士が各債権者と将来利息のカット・返済期間の延長について交渉する
②和解成立 交渉がまとまれば和解書を取り交わし、新しい返済条件(毎月の返済額・期間)が確定する
③返済開始 3〜5年 和解内容に基づき毎月一定額を返済し、完済をもって手続きが完了する

任意整理の最大のメリットは、整理する債権者を選べる点です。たとえば住宅ローンや自動車ローンはそのまま払い続け、消費者金融やクレジットカードの借金だけを整理することができます。これにより家や車を手放さずに借金問題を解決できます。一方で、元金のカットは原則なく将来利息のカットが中心となるため、借金総額が大きい場合は減額幅に限界があります。交渉の難易度は債権者によって異なり、消費者金融は比較的柔軟に応じることが多い一方、銀行系の保証会社は交渉に時間がかかる傾向があります。和解成立後の返済は毎月定額を口座振込で行うのが一般的で、弁護士事務所が代行して各債権者に振り分けてくれるサービスもあります。任意整理の条件については「任意整理できない人の条件とは?断られるケースと対処法」をご確認ください。

個人再生の場合の流れ(申立〜再生計画〜認可)

個人再生は裁判所に申し立てを行い、再生計画の認可を受けることで借金を大幅に減額する手続きです。手続き期間は6〜12ヶ月と長めですが、借金を最大5分の1まで圧縮でき、住宅ローン特則を使えば自宅を残すことも可能です。

ステップ 期間の目安 内容
①申立準備 2〜4ヶ月 収入証明・財産目録・家計簿・住宅ローン関連書類など必要書類を準備する
②裁判所への申立 管轄の地方裁判所に申立書を提出し、個人再生委員が選任されることがある
③履行テスト 3〜6ヶ月 東京地裁等では再生計画の返済額を試験的に積み立てる期間が設けられる
④再生計画案の作成・提出 1〜2ヶ月 弁護士が再生計画案を作成し、裁判所に提出する
⑤債権者の決議 2〜3ヶ月 小規模個人再生では書面決議で過半数の同意が必要。給与所得者等再生では決議は不要
⑥認可決定・返済開始 3〜5年 認可確定後、再生計画に基づいて返済を開始する。原則3年、最長5年の分割返済

個人再生で特に時間がかかるのは①の申立準備です。住宅ローン特則を利用する場合は住宅ローンの契約書・返済予定表・抵当権の登記事項証明書なども追加で必要になります。依頼者が書類収集に積極的に協力するかどうかで準備期間が大きく変わるため、弁護士から求められた資料には早めに対応することが重要です。また、履行テストの期間中は毎月の積立を確実に行うことが認可の前提条件となるため、家計管理をしっかり行いましょう。個人再生の利用条件の詳細は「個人再生の利用条件 — 住宅ローン特則が使えるケース・使えないケース」で解説しています。

自己破産の場合の流れ(申立〜審尋〜免責)

自己破産は裁判所に申し立てを行い、免責許可を受けることで全ての借金の返済義務がなくなる手続きです。財産の有無によって「同時廃止」と「管財事件」に分かれ、手続き期間が大きく異なります。

ステップ 同時廃止の目安 管財事件の目安
①申立準備 1〜3ヶ月 1〜3ヶ月
②裁判所への申立
③破産手続開始決定 申立後2〜4週間 申立後2〜4週間
④管財人による調査 なし(同時廃止) 3〜6ヶ月
⑤免責審尋 破産開始後1〜2ヶ月 管財人の調査終了後
⑥免責確定 審尋後約1ヶ月 審尋後約1ヶ月

同時廃止は、換価できる財産がほとんどなく免責不許可事由もない場合に適用される簡易な手続きです。管財人の選任が不要なため、3〜5ヶ月程度で免責が確定します。一方、管財事件は一定の財産がある場合や免責不許可事由の調査が必要な場合に適用され、管財人が財産の調査・換価を行うため6〜12ヶ月以上かかることがあります。

なお、弁護士が代理人についている場合は東京地裁では「少額管財」という簡易な手続きが利用でき、管財事件でも比較的スムーズに進行します。少額管財では予納金が20万円程度に抑えられるため、費用面でも大きなメリットがあります。自己破産の最大のメリットは免責が確定すれば返済がゼロになることですが、資格制限や官報への掲載などのデメリットもあります。免責確定までの間は弁護士・税理士・宅地建物取引士・保険募集人・警備員などの職業に就けない制限がありますが、免責確定と同時に全ての制限は解除されます。自己破産の条件については「自己破産できる条件・できない条件を総整理 — 免責不許可事由とは」をご覧ください。

手続き中にやってはいけないこと

債務整理の手続き中には、制度を問わず絶対にやってはいけないことがいくつかあります。これらに違反すると、手続きが失敗したり不利な結果を招いたりする可能性があるため、十分に注意してください。

禁止事項 なぜ禁止か 該当する制度 違反した場合のリスク
特定の債権者だけに返済する(偏頗弁済) 全債権者を平等に扱う原則に違反する 個人再生・自己破産 免責不許可・再生計画の不認可
財産を隠す・処分する 資産隠匿は破産法違反に該当する 自己破産 免責不許可・詐欺破産罪の可能性
新たな借入をする 返済能力がないのに借入れることは詐欺に該当し得る 全制度 手続きの中断・免責不許可
弁護士への連絡を怠る 書類不備や方針の未確認で手続きが停滞する 全制度 手続き期間の長期化・辞任のリスク
虚偽の申告をする 借金額・財産・収入について嘘をつくと手続き全体の信頼性が損なわれる 全制度 免責不許可・再生計画への不同意

特に注意が必要なのは偏頗弁済(へんぱべんさい)です。「親しい友人から借りたお金だけは返したい」「保証人に迷惑をかけたくないから先に返済したい」という気持ちは理解できますが、債務整理の手続き中は全ての債権者を平等に扱う義務があります。どうしても特定の人への返済を優先したい場合は、弁護士に相談して法的に問題のない方法を検討しましょう。

また、手続き中に新たな借入をすることも厳禁です。信用情報に事故情報が登録されるため通常は審査に通りませんが、闇金や一部の審査が緩い業者からの借入は可能な場合があります。しかし、これは状況を悪化させるだけでなく、免責不許可事由にも該当し得るため絶対に避けてください。手続き中に困ったことがあれば、一人で抱え込まずに必ず弁護士に相談することが最善の対処法です。3つの制度の比較は「任意整理・個人再生・自己破産の比較表 — 条件の違いを一覧で確認」で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 相談してからすぐに督促は止まりますか?

相談だけでは督促は止まりません。正式に依頼(委任契約)を行い、弁護士が受任通知を各債権者に送付した後に督促が止まります。受任通知の到達まで通常2〜5日程度かかるため、依頼から約1週間以内には督促がストップします。なお、緊急性が高い場合は弁護士が電話やFAXで先行して通知を行い、即日で督促を止めてくれるケースもあります。また、既に訴状が届いている場合や給与の差押えが始まっている場合は、法的手続きによる対応が必要になることがあるため、相談時に必ず伝えましょう。

Q. 手続き中に収入が変わったらどうなりますか?

収入の変動は手続きの方針に影響するため、すぐに弁護士に報告してください。任意整理の場合は返済計画の見直しが必要になることがあり、場合によっては個人再生や自己破産への切り替えを検討します。個人再生の返済中に収入が大幅に減少した場合は、再生計画の変更やハードシップ免責の申立てが選択肢になります。

Q. 手続きの途中で制度を変更できますか?

はい、手続きの途中でも制度を変更できます。たとえば任意整理で交渉を始めたものの債権者が和解に応じない場合、個人再生や自己破産に切り替えることが可能です。逆に、自己破産の準備中に収入の見通しが立った場合に個人再生に変更するケースもあります。ただし制度変更に伴い追加の着手金や実費が発生することがあるため、変更前に弁護士と費用面も含めて確認しましょう。

Q. 手続きは全て弁護士に任せきりでいいですか?

基本的な法的手続きは弁護士が行いますが、依頼者の協力が不可欠な場面があります。具体的には、必要書類の収集(給与明細・確定申告書・通帳のコピー等)、家計簿の記入(個人再生・自己破産の場合)、弁護士からの質問への回答などです。弁護士への連絡を怠ると手続きが停滞する原因になります。

Q. 費用が払えなくても手続きを始められますか?

はい、始められます。多くの法律事務所では弁護士費用の分割払いに対応しています。受任通知によって毎月の返済がストップするため、その間に弁護士費用を積み立てる方法が一般的です。また、収入が一定基準以下の方は法テラスの立替制度を利用でき、月額5,000〜10,000円程度の分割で費用を支払うことも可能です。費用について詳しくは「債務整理の費用はいくら?制度別の相場と払えないときの対処法」をご覧ください。

Q. 家族に知られずに手続きできますか?

任意整理であれば家族に知られずに進められるケースがほとんどです。裁判所を通さないため官報にも掲載されず、郵便物も弁護士の事務所宛てに届きます。個人再生や自己破産は裁判所の手続きが必要となり、家族の収入証明が求められる場面もあるため、完全に秘密にすることは難しい場合があります。各制度の家族への影響については関連記事をご確認ください。

まとめ

債務整理の手続きは、どの制度を選んでも「①相談 → ②受任通知 → ③債権調査 → ④制度別の手続き」という流れで進みます。弁護士に依頼した時点で督促がストップし、返済もいったん止まるため、精神的な負担は大幅に軽減されます。その後は制度に応じて3〜12ヶ月の手続き期間を経て、借金問題の解決に至ります。

手続きをスムーズに進めるための最大のポイントは、必要書類の早期準備と弁護士との密な連絡です。特に個人再生と自己破産では準備すべき書類が多く、依頼者の協力度が手続き期間を大きく左右します。また、手続き中の偏頗弁済や新たな借入は厳禁であり、不注意な行動が手続き全体を台無しにするリスクがあります。期間について詳しくは「債務整理の期間はどれくらい?制度別のスケジュールと短縮のコツ」もあわせてお読みください。まずは弁護士への無料相談で最初の一歩を踏み出しましょう。「「借金がつらい」と感じたら読む — 債務整理の始め方ガイド」も参考にしてください。

この記事を書いたのは 編集部/山井詩乃

編集部/山井詩乃

ファイナンシャル・プランニング技能士保有。金融分野の記事執筆歴3年以上。インディーズレーベルから歌手としてデビューし、iTunes等の主要音楽配信サービスで楽曲をリリースした異色の経歴を持つ。現在は編集部キャップ・タジュウの下で金融知識と執筆技術の研鑽を重ねながら、音楽と執筆の両軸で活動中。「難しいお金の話を、もっとわかりやすく」をモットーに、読者目線の記事づくりを心がけている。

監修 奥野正智

ウイズユー司法書士事務所

奥野正智 司法書士

債務整理など借金問題を得意とする司法書士、被害者に寄り添い早期解決へ導く、闇金問題解決数は50,000件を超える。大阪司法書士会会員第2667号 / 簡裁認定番号第312416号/大阪府行政書士会会員第7123号/法テラス登録相談員/LEC東京リーガルマインド専任講師

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