自己破産できる条件・できない条件を総整理 — 免責不許可事由とは

自己破産できる条件・できない条件を総整理 — 免責不許可事由とは

自己破産で借金をゼロにできるか確認したい方へ
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自己破産は全ての借金をゼロにできる強力な手続きですが、誰でも無条件に利用できるわけではありません。「免責不許可事由」と呼ばれる条件に該当する場合、借金の免除が認められないことがあります。この記事では、自己破産の利用条件と免責が認められるための要件を詳しく解説します。

自己破産の利用条件(支払不能の判断基準)

自己破産は、裁判所に申し立ててすべての借金の返済義務を免除してもらう法的手続きです。債務整理のなかで最も強力な手段であり、任意整理や個人再生では解決できない大きな借金や、収入がなく返済の見込みが立たない場合に選択されます。自己破産と聞くと「人生が終わる」というイメージを持つ方もいますが、実際には法律で認められた正当な再出発の制度であり、近年は年間約7万〜8万件で推移しており、増加傾向にあります(2024年は約7.6万件)。

自己破産を申し立てるための最も重要な条件は「支払不能」の状態にあることです。支払不能とは、債務者の収入・財産・信用力などを総合的に判断して、現在の借金を将来にわたって返済していくことが不可能な状態を指します。具体的には、以下のような状況が支払不能と判断される目安です。

判断要素 支払不能と認められやすいケース 補足
収入と返済額のバランス 毎月の返済額が手取り収入の1/3以上を占めている 生活費を差し引くと返済不能な状態
借入の状況 返済のために新たな借入を繰り返している(自転車操業) 借金が減るどころか増え続けている
滞納の有無 複数の債権者への返済を3ヶ月以上滞納している 督促状や催告書が届いている状態
財産の状況 売却しても借金の完済に足りない財産しかない 預金・不動産・車など全財産を考慮

なお、支払不能の判断は裁判所が個別のケースごとに行うため、「借金〇〇万円以上なら自己破産できる」という明確な金額基準はありません。借金が100万円でも収入がなければ支払不能と認められる一方、借金が1,000万円でも年収が十分に高ければ支払不能とは認められない可能性があります。自分が支払不能に該当するかどうかは、弁護士に収入・借金・財産の状況を伝えて判断してもらうのが最も確実です。

また、法人(会社)の代表者が個人保証をしている場合、会社の借金について個人も支払不能であれば、代表者個人も自己破産の対象となります。法人破産と代表者個人の自己破産を同時に進めるケースは実務上よく見られるパターンです。

免責不許可事由7つの類型

自己破産の手続きは「破産手続き」「免責手続き」の2段階に分かれます。破産手続きで財産を清算し、免責手続きで借金の返済義務が免除されます。しかし、以下の「免責不許可事由」に該当する場合、免責(借金の免除)が認められない可能性があります。

類型 具体的な内容 よくある例
①財産の隠匿・損壊 債権者に配当されるべき財産を隠す・壊す・不当に安く処分する 自己破産前に不動産を親族に格安で譲渡する
②不当な債務負担 破産手続きの開始を遅らせるために著しく不利な条件で借入する クレジットカードの現金化(ショッピング枠で商品を買って転売)
③偏頗弁済 特定の債権者だけを優先して返済する 自己破産直前に親族への借金だけ完済する
④浪費・賭博による過大な債務 収入に見合わない浪費やギャンブルで借金を膨らませた パチンコ・競馬・FX・ホストクラブ等への過度な支出
⑤詐術による信用取引 返済能力がないことを隠して借入する 年収を偽ってローンを組む、破産予定で直前にカードで買い物
⑥帳簿・書類の偽造等 業務上の帳簿や財務書類を改ざん・隠匿する 事業の売上を過少申告する
⑦免責に関する義務違反 裁判所や破産管財人の調査に協力しない・虚偽の説明をする 財産目録に資産を記載しない、管財人の面談を無断欠席する

さらに、前回の免責確定から7年以内の再申立ても免責不許可事由に含まれます。また、個人再生の給与所得者等再生の認可確定から7年以内も同様です。

ただし、免責不許可事由に該当しても、すぐに「免責されない」と決まるわけではありません。次のセクションで解説する「裁量免責」という制度があるためです。

なお、免責不許可事由に該当する場合は、手続きが「管財事件」として処理される可能性が高くなり、破産管財人による詳細な調査が行われます。管財人は申立人の財産状況・借金の経緯・生活態度を調査し、裁判所に意見書を提出します。この意見書が裁量免責の判断に大きく影響するため、管財人への誠実な協力が極めて重要です。

ギャンブル・浪費でも免責されるケース(裁量免責)

免責不許可事由に該当する場合でも、裁判所が「諸般の事情を考慮して免責を許可することが相当」と判断すれば、免責が認められます。これを裁量免責といいます。

実務上、免責不許可事由があっても約95%以上のケースで裁量免責が認められているというデータがあります。つまり、ギャンブルや浪費が原因であっても、ほとんどの場合は免責を受けられるのが現実です。裁量免責が認められやすいポイントは以下のとおりです。

ポイント 内容
反省の態度 破産に至った経緯を正直に申告し、反省していることを示す
管財人への協力 破産管財人の調査・面談に誠実に対応し、求められた資料を提出する
家計の改善努力 破産申立て後にギャンブルや浪費を止め、家計を改善している
不許可事由の程度 浪費やギャンブルの金額・期間が借金全体に占める割合が限定的
債権者の意見 免責に対する債権者からの強い反対意見がない

逆に、裁量免責が認められにくいのは、破産手続き中にもギャンブルを続けている場合や、管財人の調査に非協力的な場合です。また、財産を隠したり、嘘の申告をした場合は裁量免責も認められません。なお、裁量免責が認められる場合でも、管財事件として処理されるため、同時廃止より費用と期間がかかる点は覚えておきましょう。

ギャンブルや浪費が原因で「自己破産できないのでは」と不安に感じる方は多いですが、弁護士のサポートを受けて誠実に手続きを進めれば、免責される可能性は非常に高いです。まずは「「借金がつらい」と感じたら読む — 債務整理の始め方ガイド」を参考に、弁護士への相談を検討してみてください。

2回目の自己破産はできる?制限期間

前回の免責確定から7年以内に再び自己破産を申し立てた場合、免責不許可事由に該当します。つまり、7年以内は原則として免責が認められません。ただし、7年以内でも裁量免責が適用される可能性はゼロではなく、前回とは異なる事情(病気や失業などやむを得ない事情)で再度借金を抱えた場合などに認められたケースも存在します。

7年を経過した後であれば、法的には2回目の自己破産が可能です。しかし、裁判所の審査は1回目よりも厳しくなる傾向があり、免責不許可事由がある場合は裁量免責のハードルも上がります。具体的には以下の点が重視されます。

  • 再度借金を抱えた経緯:1回目と同じ原因(ギャンブル等)の場合は厳しく審査される
  • 1回目の免責後の生活態度:免責を受けた後に生活を改善する努力をしたかどうか
  • やむを得ない事情の有無:病気・失業・離婚など、本人の責任では防ぎきれない事情があるか

2回目の自己破産が認められない場合は、個人再生で借金を大幅に減額する方法が有力な代替手段です。個人再生には自己破産のような7年の制限はなく(ただし給与所得者等再生は7年制限あり)、小規模個人再生であれば利用制限はありません。詳しくは「個人再生の利用条件 — 住宅ローン特則が使えるケース・使えないケース」をご覧ください。

自営業者・フリーランスの自己破産

自営業者・フリーランスも自己破産を利用できます。ただし、サラリーマンの自己破産とは異なるポイントがいくつかあります。

最大の違いは、ほぼ確実に「管財事件」として処理される点です。会社員の場合、財産が少なく免責不許可事由がなければ「同時廃止」(簡略化された手続き)で済むことが多いですが、自営業者は事業用の資産・債権債務が複雑であるため、破産管財人が選任されて詳細な調査が行われます。

項目 会社員 自営業者・フリーランス
手続きの種類 同時廃止が多い ほぼ管財事件
予納金 不要〜1万円程度 20万円〜50万円程度
調査期間 2〜4ヶ月 6ヶ月〜1年程度
事業の継続 影響なし 事業用資産が処分される可能性あり
売掛金の扱い 該当なし 破産財団に組み入れられる

なお、自己破産をしても事業そのものを続けることは法的に禁止されていません。破産後に新たに個人事業を始めることも可能ですが、信用情報に事故情報が登録されるため、融資やリースの利用が当面困難になる点は覚悟しておく必要があります。

ただし、事業用の設備や在庫が処分対象となるため、事業の継続が事実上困難になるケースがあります。事業を続けながら借金問題を解決したい場合は、個人再生任意整理を検討する方が現実的です。個人再生であれば事業用資産を維持したまま借金を大幅に減額でき、任意整理であれば整理する債権者を選べるため、事業に必要な取引先への影響を避けることが可能です。

管財事件と同時廃止の振り分け基準

自己破産の手続きは「管財事件」「同時廃止」の2種類に分けられます。どちらになるかで費用・期間・手続きの負担が大きく変わるため、事前に弁護士と見通しを確認しておくことが重要です。

比較項目 同時廃止 管財事件(少額管財含む)
対象者 財産が少なく、免責に問題がない 一定の財産がある、または免責不許可事由あり
破産管財人 選任されない 選任される
予納金 不要(官報掲載費のみ) 20万円〜(裁判所により異なる)
手続き期間 2〜4ヶ月 6ヶ月〜1年
債権者集会 なし あり(通常1〜3回)
郵便物の転送 なし 管財人宛に転送される期間あり

同時廃止になる基準は裁判所によって異なりますが、一般的に以下の条件をすべて満たす場合に適用されます。

  • 換価可能な財産が20万円以下(裁判所の基準による)
  • 明らかな免責不許可事由がない
  • 法人の代表者・個人事業主でない
  • 現金が33万円以下(東京地裁の基準)

これらの基準を1つでも超えると管財事件に振り分けられます。なお、東京地裁では弁護士が代理人についている場合に「少額管財」という簡略化された管財手続きが利用でき、予納金が20万円程度に抑えられます。本人申立ての場合は通常管財となり、予納金が50万円以上になることもあるため、弁護士に依頼するメリットは大きいです。

なお、同時廃止と管財事件では手続きの負担が大きく異なります。同時廃止であれば申立てから2〜4ヶ月程度で免責が確定し、債権者集会もなくスムーズに進みます。管財事件の場合は6ヶ月〜1年程度かかり、管財人との面談や債権者集会への出席が必要です。自分の手続きがどちらになりそうかは、弁護士に財産状況と借金の経緯を伝えれば判断してもらえます。

条件面が不安なときの相談ルート

「自分は免責不許可事由に該当するのでは」「ギャンブルが原因だから無理かも」と不安を感じている方でも、まず弁護士への無料相談を利用してみてください。実際に相談すると、以下のことが明確になります。

  • 自分の状況で自己破産が可能かどうか
  • 免責不許可事由に該当するか、裁量免責の見込みはあるか
  • 自己破産以外の手続き(任意整理・個人再生)が適しているか
  • 費用の目安と支払い方法

相談先としては、以下のルートがあります。

相談先 特徴 費用
弁護士事務所 自己破産の代理人として手続き全体を任せられる 初回相談無料の事務所が多い
法テラス 収入要件を満たせば弁護士費用の立替制度が利用可能 相談無料、費用の分割払い可
市区町村の法律相談 自治体が定期開催する無料法律相談 無料(30分程度)
弁護士会の法律相談 各地の弁護士会が運営する相談窓口 30分5,500円程度

特に費用面で不安がある場合は法テラスがおすすめです。法テラスの立替制度を利用すれば、自己破産の弁護士費用を月額5,000~1万円の分割で支払うことができ、生活保護受給中の方は費用が実質免除されるケースもあります。法テラスの収入要件は営業日に電話予約で確認できますので、費用が心配な方はまず法テラスに問い合わせてみましょう。「弁護士と司法書士、債務整理はどちらに頼むべき?違いと選び方」も参考にしてください。

なお、弁護士に相談する際に準備しておくと話がスムーズに進む情報は、①借金の総額と借入先の一覧、②毎月の収入と生活費の内訳、③保有している財産(不動産・車・保険・預金など)の概要、④借金の原因(生活費不足・ギャンブル・事業失敗など)の4点です。すべてが正確に揃っていなくても問題ありません。まずは分かる範囲で弁護士に伝えれば、自己破産の見通しを判断してもらえます。

よくある質問(FAQ)

Q. ギャンブルで作った借金は自己破産できませんか?

ギャンブルによる借金は免責不許可事由に該当しますが、裁量免責により約95%以上のケースで免責が認められています。破産に至った経緯を正直に申告し、反省の態度を示し、管財人の調査に誠実に協力すれば、免責される可能性は非常に高いです。「ギャンブルだからダメ」と決めつけず、弁護士に相談してみてください。

Q. 収入があっても自己破産できますか?

はい、収入があっても返済が不可能な状態(支払不能)であれば申し立てられます。重要なのは「現時点で支払不能かどうか」という総合的な判断です。年収500万円の方でも、借金が2,000万円あり月々の返済が手取り収入の大部分を占めている場合は、支払不能と認められます。逆に、借金が100万円で年収が300万円あれば、返済可能と判断され、自己破産ではなく任意整理のほうが適切な手続きと判断されるでしょう。

Q. 免責が認められなかった場合はどうなりますか?

免責が認められない場合、借金の返済義務はそのまま残ります。ただし、破産手続き自体は完了しているため、個人再生に切り替えて借金を大幅に減額する方法が検討できます。個人再生では免責不許可事由は問題にならないため、自己破産で免責不許可になったケースでも利用可能です。なお、免責不許可は実務上非常にまれであり、裁量免責も含めると免責されないケースは全体の1%未満とされています。弁護士のサポートを受けて誠実に手続きを進めれば、免責不許可となる心配はほとんどないと言って良いでしょう。

Q. 税金や養育費も自己破産で免除されますか?

いいえ、税金・社会保険料・養育費・罰金などは「非免責債権」として、自己破産をしても免除されません。これらは自己破産後も引き続き支払い義務が残ります。税金の支払いが困難な場合は、市区町村の税務課に分割払いの相談をしてみてください。養育費の減額が必要な場合は家庭裁判所への調停申立てが別途必要になります。なお、損害賠償請求権のうち悪意の不法行為に基づくものも非免責債権に該当します。

Q. 自己破産すると資格制限はありますか?

はい、破産手続き開始から復権するまでの期間、一部の職業・資格に制限がかかります。対象となる主な職業は、弁護士・司法書士・税理士・宅地建物取引士・生命保険募集人・警備員・旅行業務取扱管理者などです。ただし、免責が確定すれば自動的に復権し、制限は解除されます。通常は破産手続き開始から免責確定まで3〜6ヶ月程度であり、永久に資格を失うわけではありません。詳しくは「債務整理しても仕事は続けられる?職場への影響と資格制限」をご覧ください。

Q. 自己破産の手続き中に制限されることはありますか?

管財事件の場合、手続き期間中は郵便物が管財人に転送されるほか、裁判所の許可なく住所を移転できない(居住制限)という制限があります。ただし、日常的な外出や旅行に裁判所の許可が必要なわけではなく、長期の転居の場合のみ申告が必要です。同時廃止の場合はこれらの制限はありません。いずれの場合も、手続き期間中に新たな借入をすることは厳に慎みましょう。破産手続き中の新たな借入は、免責の判断に悪影響を及ぼす可能性があります。

Q. 自己破産と個人再生、どちらを選ぶべきですか?

判断の基準は「返済能力」と「守りたい財産」です。収入がなく返済が不可能な場合は自己破産が適しています。一方、安定した収入があり住宅を守りたい場合は、住宅ローン特則が使える個人再生が有力です。借金総額と月々の返済可能額を弁護士に伝えれば、どちらが適切か判断してもらえます。「【比較表付き】任意整理・個人再生・自己破産 — 条件の違いを一覧で確認」で3制度を比較できます。

まとめ

自己破産は借金をすべてゼロにできる強力な手続きですが、支払不能であることが前提条件であり、免責不許可事由に該当する場合は免責が認められない可能性があります。しかし、ギャンブルや浪費が原因であっても裁量免責により約95%以上のケースで免責が認められているのが実情です。

自己破産の条件を満たせない場合でも、個人再生で借金を大幅に減額したり、任意整理で将来利息をカットしたりする代替手段があります。どの手続きが最適かは、借金の金額・原因・収入・財産の状況によって異なるため、まずは弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることが重要です。多くの弁護士事務所が初回無料相談を実施しており、法テラスを利用すれば費用の心配も大幅に軽減できます。自己破産を「人生の終わり」と考える方もいますが、実際には法律で認められた正当な再出発の手段です。借金の悩みを抱え続けるよりも、専門家の力を借りて一日も早く生活を立て直すことが何より大切です。「債務整理とは?4つの種類と違いを初心者向けにやさしく解説」で全体像を把握したうえで、一歩踏み出してみてください。

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この記事を書いたのは 編集部/山井詩乃

編集部/山井詩乃

ファイナンシャル・プランニング技能士保有。金融分野の記事執筆歴3年以上。インディーズレーベルから歌手としてデビューし、iTunes等の主要音楽配信サービスで楽曲をリリースした異色の経歴を持つ。現在は編集部キャップ・タジュウの下で金融知識と執筆技術の研鑽を重ねながら、音楽と執筆の両軸で活動中。「難しいお金の話を、もっとわかりやすく」をモットーに、読者目線の記事づくりを心がけている。

監修 奥野正智

ウイズユー司法書士事務所

奥野正智 司法書士

債務整理など借金問題を得意とする司法書士、被害者に寄り添い早期解決へ導く、闇金問題解決数は50,000件を超える。大阪司法書士会会員第2667号 / 簡裁認定番号第312416号/大阪府行政書士会会員第7123号/法テラス登録相談員/LEC東京リーガルマインド専任講師

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