特定調停

特定調停

弁護士なしで費用500円から。仕組み・メリット・デメリット・他制度との違いを網羅解説

特定調停は、簡易裁判所の調停委員が間に入って債権者との返済条件の見直しを話し合う手続きです。弁護士なしで本人が申し立てでき、費用は1社あたり約500円と格安。ただし調停不成立のリスクがあり、近年は任意整理を選ぶ方が大半です。

特定調停とは — 制度の仕組みと法的根拠

特定調停とは、簡易裁判所の調停委員会が債務者と債権者の間に入り、返済条件の見直し(将来利息のカット・返済期間の変更など)について合意を目指す手続きです。「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(特定調停法)」に基づいて2000年に創設されました。

弁護士に依頼せず自分自身で申し立てられる点が最大の特徴です。申立費用は1社あたり500円程度と格安で、経済的に余裕がない方でも利用しやすい制度設計になっています。ただし、近年は利用件数が大幅に減少しており、任意整理を選ぶ方が圧倒的に多くなっています。

特定調停のメリット

メリット内容
費用が非常に安い1社あたり収入印紙500円+郵便切手数百円。弁護士費用がかかりません
自分で申し立てられる弁護士に依頼しなくても、本人が裁判所に申立書を提出して手続きできます
整理する借入先を選べる任意整理と同様、特定の債権者だけを対象にできます
官報に掲載されない個人再生や自己破産と異なり、官報への掲載はありません
調停委員が間に入ってくれる法律知識がなくても、調停委員が債権者との交渉をサポートします
強制執行を止められる場合がある裁判所に申し立てれば、給与差し押さえ等の強制執行停止が認められることがあります

特定調停のデメリット・リスク

デメリット内容
調停不成立のリスク債権者が合意しなければ調停不成立となり、手続きが無駄になる可能性があります
自分で裁判所に出向く必要がある平日に複数回、簡易裁判所に出廷しなければならず、仕事を休む必要が生じます
調停調書は判決と同じ効力を持つ合意した返済計画を守れなかった場合、すぐに強制執行(差し押さえ)を受けるリスクがあります
督促が止まるとは限らない任意整理の受任通知のような法的な督促停止効果がなく、申立後も督促が続く場合があります
過払い金の回収はできない引き直し計算で過払い金が判明しても、調停の中で回収まではできず、別途請求が必要です
減額効果は任意整理と同程度将来利息のカットが中心で、元本の大幅な減額は期待できません
信用情報に事故登録されるブラックリストに約5年間登録され、新規借入やカード作成ができなくなります

利用条件と向いている人

特定調停の利用に厳密な条件はありませんが、以下のような方が対象になります。

条件内容
収入利息カット後の元本を3〜5年で返済できる見込みがある方
対象「特定債務者」(金銭債務を負い、支払いが困難な個人または法人)
借入先との関係調停による話し合いでの解決が見込める場合

こんな人に向いています:

  • 弁護士費用を払う余裕がなく、自分で手続きを進めたい方
  • 借入先が少数(1〜2社程度)で、交渉がまとまりやすい方
  • 平日に裁判所へ出向ける時間が確保できる方

向いていない場合:

  • 借入先が多い場合(1社ごとに手続きが必要で手間が増大)
  • 元本自体の減額が必要な場合(個人再生や自己破産が適切)
  • すでに給与差し押さえを受けており、早急な対応が必要な場合

費用の目安

費用項目金額
収入印紙1社あたり500円
郵便切手1社あたり430〜500円程度
弁護士費用なし(自分で申し立てる場合)

3社を対象にした場合、合計3,000円程度と他の制度に比べて圧倒的に安価です。ただし、弁護士に手続きを依頼する場合は別途弁護士費用がかかります。

手続きの流れ

ステップ内容期間の目安
1. 申立書の作成簡易裁判所で書式を入手し、申立書・関係権利者一覧表・財産状況等明細書を作成します1〜2週間
2. 裁判所に申立債権者の所在地の管轄簡易裁判所に提出します
3. 第1回調停期日裁判所に出向き、調停委員と面談。借入状況や返済能力を確認します申立後2〜3週間
4. 債権者との調停調停委員が債権者と交渉。将来利息のカットや返済計画を話し合います1〜2回の期日
5. 調停成立(or 不成立)合意に至れば調停調書が作成されます。不成立の場合は手続き終了です
6. 返済開始調停調書の内容に沿って返済を開始します3〜5年

申立から調停成立まで約2〜3ヶ月程度です。ただし、債権者が多い場合はそれぞれ個別に調停を行うため、期間が長期化します。

特定調停と他の制度との違い

比較項目特定調停任意整理個人再生自己破産
減額の程度将来利息のカット将来利息のカット元本を最大1/10に圧縮全額免除
裁判所簡易裁判所不要地方裁判所地方裁判所
弁護士不要(本人申立可)必要必要必要
費用1社500円程度1社2〜5万円50〜80万円30〜130万円
対象の選択借入先を選べる借入先を選べる全債権者が対象全債権者が対象
合意不成立リスクありあり(低い)なし(法的強制力)なし
調書の強制力判決と同等私的な和解契約裁判所認可裁判所認可
官報掲載なしなしありあり

任意整理との違いを中心に詳しく知りたい方は「特定調停とは?メリット・デメリットと任意整理との違い」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 特定調停と任意整理、どちらを選ぶべきですか?
A. 費用を最小限に抑えたく、平日に裁判所へ行ける方は特定調停も選択肢です。ただし、督促停止の確実性や手続きの簡便さでは任意整理が優れているため、現在は任意整理を選ぶ方が圧倒的に多数です。
Q. 特定調停で借金の元本は減りますか?
A. 原則として元本は減りません。将来利息のカットと返済期間の調整が主な効果です。元本の減額が必要な場合は個人再生自己破産をご検討ください。
Q. 調停が不成立になったらどうなりますか?
A. 手続きが終了し、借金はそのまま残ります。その場合は任意整理や個人再生など他の手段に切り替えることが可能です。
Q. 特定調停を申し立てると督促は止まりますか?
A. 法律上の自動停止効果はありませんが、裁判所から債権者に通知が届くことで事実上止まるケースもあります。確実に止めたい場合は弁護士に依頼する方法が安心です。

さらに詳しく知りたい方へ

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