債務整理「あゝ転生!タジュウなぜか警備員になる。がまた酒を呑みファイヤード。」破産か再生か? それが問題だ。元・タジュウの債務整理3/3完結編

債務整理「あゝ転生!タジュウなぜか警備員になる。がまた酒を呑みファイヤード。」破産か再生か? それが問題だ。元・タジュウの債務整理3/3完結編
債務整理「あゝ転生!タジュウなぜか警備員になる。がまた酒を呑みファイヤード。」破産か再生か? それが問題だ。元・タジュウの債務整理3/3完結編
編集部/元・タジュウ

振り返り

ハロー! 元タジュウです。私の多重債務者としての底辺人生をなぞりながら法的債務とは何ぞ? を実際的に把握しよう! という試みのこの記事も本稿で最後となります。

先に、今同じような多重債務で苦しんでおられる方々のために一番申し上げたい結論を

  • 自己破産は「免責不許可要件」に引っかかっていても猛省すればまず通る! 是非早めに申請して下さい。
  • 自己破産に強い弁護士を必ず雇うべし。フィーも思ったほど高くない。

あらすじ。金と名誉に目が眩んでエリート投資銀行マンを目指してアメリカくんだりまで留学し、揚々と大手町に乗り込んだ私はすぐに蹉跌を味わう。その後、8年の時をかけてじわじわとキャバ中 & 借金地獄にはまる。高い金利の付く借金が手元に総額で1,000万円超。もう海外に逃亡するしかなかったが、その前にある小さな弁護士事務所の扉を叩いた・・・。

諦めの早い債権者達

上記に特に念を押したい二点を記載致しました。一点目についてはこれまでの稿でかなり述べております。二点目についてです。

弁護士事務所にまず各債権者 = クレジットカード会社・都銀・消費者金融各位に「こいつは法的債務整理に入ったので直に請求せず、連絡窓口はうちで。決着は裁判所で!」との文面を送ってもらいました。そうしたら毎月届いていたクレジットカードの引落し案内がピタッと来なくなりました。その後、待っていても他のカード会社・サラ金からの督促状も一切届きません。

ここで重要な点を一つ。自己破産や個人再生が許可される重要な要件の一つに「債権者の異議が無いこと」が挙げられます。裁判の場には、一応裁判所(管財人)からこうした債権者も呼ばれています。弁護士に聞いたところ、債権者が映画のように押し寄せることはまずない。ほとんど来ない、とのことでした。

一度申し上げましたが、こういったプロの金融機関は「ある一定のデフォルトがあり得ることを計算して」(全体的にバランスをとって)貸出し、ローンのポートフォリオを形成しています。このため、一件当たり数千万や億単位でなければ通知が来た時点でバランスシートから切り落としてしまいます = ライトオフ。私の例で申し上げると、こちらも分散(?)していることもあり、一社当たりはせいぜい数十万~マックス200万円です。債権者側も取り返すのに手間・お金(リーガル費用)も掛かりますし、そもそも一銭も持っていないだろうと思われる相手から取り戻そうとするのは無駄な努力です。

このため、一社当たりの額が数千万と大きく家があったりすると分かりませんが、200万円ぐらいまでなら事実上通知を出してもらった時点でオワリになります。

但し「事実上」ですので、金融機関の方は諦めても法的枠組みでしっかり帳消しになった!と裁判所に宣言してもらうべきです。

実際、残念ながら自己破産が通らなかった人でも、形式的には借金が残っているが債権者の方が切り捨ててるので放って置けば取立ても何も無い、という方もあるようです。それでも何だかスッキリしない、という感情面のことはあるかと。

弁護士を雇うべし! と申し上げたのはこの点です。通知してもらえばまずそこで事実上片が付く。では、雇わなかったらどうなるのか。自己破産や個人再生の申請・手続きはプロを雇わなくても自分でも出来ます。「法的債務整理に入りました」という通知も自分で送ることが出来ます。しかしながら、私個人でやっていたら「なめられて」給与口座に手が伸びていたかもしれません。こういった意味で、第三者であるプロを間にかますべきです。窓口が自分ではない、という点も安心します。

専門家を起用する点についてもう少し。申請には膨大なペーパーワークが必要です。弁護士でなくとも、司法書士で自己破産・個人再生を得意とする事務所もあります。弁護士と司法書士の違いは何か? 司法書士は書類作成は全てやってくれますが、裁判所で「代理」(同行)することが出来ません。最低一度は裁判所に出頭しなくてはならないので、この点でも私のような怖がりには弁護士の方が向いています。対債権者の盾という意味でも資格的に弁護士の方が押しが利きます。その分司法書士は割安ですが・・・。思ったより高くないので、出来れば弁護士を起用しましょう。

ポイント1(最重要)

弁護士は雇うべし。自分でやると債権者の抑えが利かない可能性大。

破産か再生か? それが問題だ。

シェークスピアのマネ。さて、同じ大学を出た弁護士殿と相談しながら(この差・・・)自己破産にするか個人再生にするか悩み抜きました。まず債権者自身は諦めているので、最後の砦は裁判所、もっと言うと債権者を代理する「管財人」(裁判所から選定されます)です。人によって厳しい人がいたり(許さん!)、寛容な人がいたり(反省してるんなら多めに見るよ!)でくじ引きみたいです。

申し上げました通り、自己破産には「免責不許可要件」がある。個人再生には無い。私はど真ん中で引っかかっています。さてどうするか?

まず何故個人再生の方が時間が掛かるのか? 借金を額により例えば 1/5 に圧縮してその分は金利無しで月次で分割返済する、という枠組みです。まず資産があったりすると査定に時間が掛かります。返済計画の策定にも時間が掛かります。一番時間が掛かるのが、毎月いくら返済して何年で完済、と計画を策定し暫定承認された後の「観察期間」が半年ほど。改めて作ったカラの銀行口座に毎月しっかり振り込み、約束を守れそうだとなったら正式承認される、という流れになっています。

ちなみに同弁護士事務所は、半年分は銀行残高証明で裁判所にただ示せばいいのでその分を先に事務所の報酬に充て、裁判所に正式承認されたら後は数年自分で頑張ってね! といううまいやり方をしていました。弁護士事務所も商売です! 金融機関も道楽で商売はやっていませんが・・・。

気付かず放置していたのですが、私はその当時解約すれば換金出来る保険に入っていました。貯蓄性のある入院保険(生命保険)のようなもので、計3つあり、合計で250万円ほど。一方借金は1,000万円ちょいです。もちろん保険など取られても構いません。自己破産にするとこれを換金して250万と1,000万を相殺し、750万円はチャラにしてもらうことになります。再々ですが、自己破産には免責不許可要件があるのでど真ん中の私は却下される可能性があります。

ここでふと、法的枠組みに微妙な穴があるな・・・と思いました。

債権者はどちらにしても口を出してこない。この件はOK。後は免責不許可要件。自己破産にはあるが、個人再生には無い。時間的にはどうか? 自己破産は通ればその瞬間に終わる。一方個人再生にすると通常は分割返済完了まで3-5年は掛かりダラダラ続く。これも苦痛。ここで、もし返済計画を先に通して、1,000万円 X 1/5 = 200 に圧縮された借金を保険の解約返戻金で一発で返してしまったらどうか? と考え弁護士に相談しました。それはアリだ、と。債権者の方も早く返してもらえるならそれに越したことは無い。こうすると、なお計画策定や半年の観察期間の分個人再生の方が時間が掛かりますが、免責不許可要件ナシで個人破産と同じ効果を得られる。なんてスマートな私!

その事務所は個人再生もかなり経験があり、普通は家がある人が通る道だそうですが、免責不許可要件に邪魔されないよう自己破産より時間は掛かるものの個人再生を選択しました。ところがそうは問屋が卸しません・・・。この点は次の章で。

保険に気付いてたら解約してキャバに行ってたんだがな~。とまだおバカなことを考えていました。ちなみに法的債務整理に正式に踏み切る前後で下手に資産をいじると、意図的にやってるのでは? と捉えられ管財人に睨まれます。保険の解約より分かりやすい例を。1億円の借金がある人が、5,000万円の家を持っているとします。自己破産にすると家は取られ、チャラにしてもらうのは差し引き5,000万円です。一方個人再生にして2,000万円返すのもヤダ。なら、親戚なりに家の所有権を一旦登記上移して1億円を丸ごと自己破産でチャラにしてもらう! これはどうや!! 移転登記が数年前ならともかく、先月とかの場合NGです。残念ながら。

ポイント2

法的債務整理手続きに入る寸前で変なことをしない。ギャンブルが理由ならパチンコ行かない。キャバが理由ならキャバ行かない(せめて家で飲む)。

就職活動再び

個人再生を選んだのはいいのですが、ここで一つ大きな問題が。個人再生では「定収入」が無いと暫定の計画もまず通りません。数年掛けて圧縮してもらった借金を元本だけでも返す、というのですから当たり前といえば当たり前です。

私は例のIT会社を既に辞めており(事実上はクビ)、無職です。これでは個人再生が通らない。どうしよう。個人再生を保険で一括返済して事実上短期間で済む自己破産に仕立てよう、というのですから矛盾を覚えます。

ここで考えました。バイトでもいいそうなんで、サラリーマンにはもう戻れないため便宜上(?)何でもいいから個人再生が通るまで職に就く。その後、気に入れば一生やってもいいし・・・。

誰でも出来る仕事。って案外ありません。何らかのスキルが要ります。アカデミック的には優れていても世の中的にはほとんど何も出来ない人間であることに気付きます。この点でも最低の腐れ人間です。

でも思い付いた。警備員。立ってるだけ。足は痛かろうが。警備員は犯罪歴等がなければ誰でも採用されます。二社受け、両方通りました。人事部長二人に、この学歴で警備員になる人は世界で初めてではないか・・・と言われました。そうでしょうね。志望理由で、何故か? という点には苦労しました。借金があって警備員になってはいけないという法律はありませんが、会社のポリシーとしてそのような決まりは定めています。他人の財産(施設)を管理する職業だからです。なのでその点には触れず、デスクにしがみついている知的職業に疲れ果て肉体労働の方がいいと思いました、と申し上げました。ある意味間違いでは無い。いずれにせよ、職を転々として最後警備員に落ち着く人達は人生に何らかの問題があります。その点は向こうも弁えておりあまり深くは聞きません。東京オリンピックが近いので、世界初数ヵ国語ペラペラの警備員として使えるねぇ・・・と営業的な意味合いも含め二人とも同じ考えを持っておられました。言われたらやるよ。

また無職

こうしてそのうち一社で警備員デビューしたタジュウ。立ってるだけ(立哨)か、歩いてるだけ(巡回)なのはOKで夜勤が眠気で辛いのも我慢出来ます。しかし人間関係あまり無さそうと思っていたら閉鎖社会なのでかなりあり、当然社会的に成功していない人達(低学歴、等。良し悪しは別に)なので高学歴の人間はいびられます。立哨の姿勢が悪い!、敬礼の手の角度が悪い! 応答の際もっと腹から声を出せ! 云々。自衛隊とか警察ではないんで・・・。見た目は制服を着ているので似てますが。

一方計画の提出を進めて貰っている弁護士事務所の方ですが、書類作成に時間が掛かる上他のもっと「緊急」のクライアントの応対で忙しいそうで中々進みません。まだかまだか、と我慢して立ちんぼをしているうちに、精神面で同僚・上司のいびりに耐えられなくなってきました。でも再生が終わるまでは我慢。これが人生再生のプロセスなんだ!

さて警備員をやっていると自己破産は申請出来ないし、私の場合切り替えることは出来ません。最初の稿でご説明したように自己破産申請には職業規制があり警備員もそれに含まれるからです。

ここで、もう耐えられないなら辞めてまた無職になって自己破産に切り替える手もありましたが、とにかく免責不許可要件がコワい。我慢するんだ!

ここで悪い癖が。酒は控えていたのですが、イジメに耐えられるよう休み時間にお酒を少し飲み、それを見つけた同僚が上司にチクり、怒られて辞めてくれと言われました。イジメの方止めるように先に言って欲しい。

ちなみに警備員の給料は当然法律の定める最低の賃金レベルですが、月に10万円台ぐらいは手元に入ります。これでキャバに行ったか? 法的債務整理に入った後の銀行口座の残高証明も管財人・裁判所に提出しなくてはならないので、バッと抜くと怪しまれます。そこは自重しました。

で、辞めて。自己破産へ。弁護士事務所の方も待たせてスマンかった。つらかったでしょう、ということで自己破産は個人再生ほど書類の準備が要らないためサッと申請してくれました。なら初めっから自己破産にしとくんだった・・・。トホホ。

ただ、自己破産を申請するには警備員ではダメなので、その点(だけ)は辞めて都合が良かったです。警備員と法的債務整理の要件が絡み合う数奇な世界を堪能。両方最底辺の人だけがくぐり抜ける世界、という点(だけ)は確か。ダブル最底辺な私。

裁判所デビュー(被告人?)

書類を提出した後の流れです。まず管財人が選定され、弁護士と一緒に一度は会いに行くことになります。その後数か月の観察期間を置いて最後また弁護士殿と一緒に裁判所へ。そこで判断が下されます。

管財人は裁判所が募集すると稼ぎたい弁護士が応募して選定されます。自己破産で財産がある場合は通常の報酬にプラスして没収する財産の一部を報酬として受け取れます。私の場合確か50万円ぐらいは管財人の手に渡りましたが、後から考えるとこれは少し有利な要素だったかもしれません。

管財人の事務所に行くと、女性の厳しそうな弁護士が出てきて、厳しくたしなめられます。何故そんなことをしたのか? と。これはヤバい。寛大な方でなく処罰型だ・・・。追加書類の提出を求められます。何故そうなったのか、今後どうするつもりなのか、という所謂「反省文」です。これがキーになるかもしれません。

管財人に会った後は、私宛ての「郵送物」が全て日本郵政から管財人の事務所に転送されるというプロセスが始まります。観察期間中に変なことをしていないかチェックするというのが狙い。まだ別のクレジットカードでどこからかお金を借りていたり、酒はもう飲まんと口で言いながら飲み屋から請求書が来ていたり(私の場合)、ギャンブルは一切やめますと言いながらオンラインカジノから請求書が来ていたらアウト! という仕組みです。どちらかというと対ギャンブルの仕掛けかと思います。私は大丈夫でした・・・。

さてキャバクラ通いの放蕩ですので当然免責不許可要件に引っかかっていますが、ここが腕の見せ所。弁護士が代わりに書こうか? と言ってくれましたが自分でやるとお伝えしました。後に組織勤めが無理でフリーのライターになる片鱗が出ていたかもしれません。

まず、引っかかっていても謝り倒せば大抵通るとは知っていました。ここで、変に言い訳するより正直に書こうと

  • エリートを目指したが大失敗し、女の子に愚痴を聞いてもらいたいのでキャバクラ通いを始めた。
  • 中毒になり、カード借金を重ねた。
  • 自己破産をお許し頂ければ今後放蕩はしません。

という感じでツラツラ書きました。100%正直かというとそうではありません。楽しみでキャバに行っていた面もあるからです。が、概ね間違いではありません。で、弁護士事務所経由で提出。

3ヶ月後ぐらいに近くの地裁で裁判所デビューします。何だか無機的でコワい場所です。デビューと言っても刑事裁判ではないので観客(傍聴者)はおらず、私と弁護士、管財人と裁判官一人がポツンと狭い部屋にいるだけです。裁判官は若い女性。債権者は一人も来ず。

厳しい顔をした管財人が壇上で裁判官に対し事実の報告を始めます。法的債務整理のプロセスでは事実上管財人が力を握っており、裁判官は管財人の判断に従います。10分ぐらいドキドキしながら管財人の言うことに耳を傾けます。申請者側から何か言うことは? と裁判官に聞かれましたが、そのままなので「特にありません・・・」とボソッと答えます。さて管財人の判断は・・・?

免責不許可要件に明らかに抵触するが、真摯な反省文を読んだところ慙愧の念が見えるため、今回は特別免責許可としたい。とのこと。裁判官も否はありません。通った!

その後管財人の方と少しお話ししたのですが、債権者を代表しているので甘い顔は出来なかったが、文章を読んで問題なく通そうと思った、とのこと。実はいい人でした・・・。但し、一度自己破産をしてまた同じ道を辿り二度目の自己破産申請をする人もいるが、二度目にになると通りにくくなる(反省してなかった、ということで)ので、そこだけは気を付けて、と。はい、先生!

ポイント3(一番重要)

正直に謝って素行を改めれば免責不許可要件に抵触していてもほぼ100%通る。但し二度はナイ。

その後

約束通りお酒を控えながら、それでも生きるために最低限働く必要はあります。サラリーマンはやりたくてもどこも雇ってくれない。いずれにしてもやりたくない。警備員は絶対ヤダ。組織勤めがそもそも無理だろう、と。現在はある程度自由な働き方ができる、編集として清貧に糊口を凌ぐ程度の収入を確保しております。

貧乏でクレジットカードも作れないのでキャバは行っていませんが・・・もしキャッシュが少し余ったらまた上野に行ってみようかなぁ。今度は欝の飲みではなく、晴れ晴れとしたお酒を!

オワリ!!

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この記事を書いたのは
編集部キャップ/元・タジュウ
編集部キャップ/元・タジュウ
日本国内某一流大学を卒業後、米国一流校でMBAをトップクラスの成績で取得。Chartered Financial Analyst, CFA/日本証券アナリスト協会認定アナリスト, CMA取得済み。金融に関しての知識は世界トップクラス。ネイティブ並みの英語とタイ語能力を有す。大手町大手監査法人でM&Aアドバイザー職を経て右往曲折(紆余だけでなく。詳細は記事をご覧あれ)。現在は債務整理中央事務局で編集キャップとして活動中。コップンカップ!
私が監修しました
川﨑純一
司法書士法人アストレックス
川﨑純一 司法書士
平成20年に20代で司法書士登録、15年以上の業務歴がある司法書士。債務整理や借金等の消滅時効援用の相談も得意としている。