特定調停

特定調停

弁護士なしで費用500円から。仕組み・メリット・デメリット・他制度との違いを網羅解説
更新日:

特定調停は、簡易裁判所の調停委員が間に入って 債権者と返済条件を話し合う、債務整理の中でも一番マイナーな制度です。費用は 1社あたり 500円〜1,200円程度 と格安、弁護士に頼まずに 本人だけで申立可能 という強みがあります。

たとえると、特定調停は「裁判所の中で開く話し合いの場」。任意整理(弁護士が代理人として直接交渉)と自己破産(裁判所が借金をリセット)の 中間ぐらい にある制度。

ただし正直に言うと、現代では任意整理が圧倒的に主流 で、特定調停を選ぶ人は年に数千件程度。それでも、弁護士費用を払えない・自分で動ける時間がある人にとっては 依然として有効な選択肢 であることは確かです。

この記事では、特定調停の仕組み・メリット・デメリット・任意整理との違い・本人申立ての実務(書類作成から期日のやりとりまで)・業者別の対応傾向・準備チェックリストを 他サイトより一段濃く 解説します。「自分には特定調停が合っているのか、それとも任意整理に切り替えるべきか」 を判断する材料として、また 本気で本人申立てを検討する人の実務マニュアル として使ってください。

① 特定調停とは — 制度の仕組みと法的根拠

特定調停は、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(通称: 特定調停法、2000年施行)に基づく裁判所手続きです。簡易裁判所 に申し立て、調停委員の仲介で債権者と 将来利息のカット・返済期間の延長 を合意します。

「調停」と「合意」の2段階

段階

何が起きるか

調停期日

簡易裁判所で調停委員と債権者・申立人が話し合い

調停成立

合意内容が 調停調書 として作成され、強制力を持つ

たとえると、特定調停は「町内会の揉め事を、裁判所の世話役が間に入ってまとめる場」。法律の力を借りつつ、最終的には当事者同士の合意で決める手続きです。

なぜ生まれた制度か

1990年代後半、消費者金融の利用者急増で 多重債務問題 が社会問題化。当時は自己破産か高額な弁護士費用での任意整理しか選択肢がなく、「裁判所が安価に借金整理を仲介する制度」 として2000年に特定調停法が成立しました。

ピーク時の2003年には 年間20万件以上 の利用がありましたが、その後 任意整理の弁護士費用が下がり(着手金1〜2万円が一般化)、特定調停は減少。直近では 年間数千件程度 にまで落ち込んでいます。

任意整理との根本的な違い

両制度とも目的(将来利息カット)は似ていますが、進め方が違います。

項目

特定調停

任意整理

場所

簡易裁判所

弁護士事務所

仲介者

調停委員(裁判所職員)

弁護士・司法書士

申立人の立ち位置

本人が出廷

弁護士が代理

強制力

調停調書 = 強制執行力あり

なし(私的合意)

つまり特定調停は 「裁判所のお墨付きをもらう代わりに、自分で動く」 制度です。


② 特定調停のメリット

メリット

内容

要するに

費用が圧倒的に安い

1社あたり 500円〜1,200円程度(収入印紙 + 郵券)

弁護士費用が払えない人でも進められる

本人申立てができる

弁護士・司法書士に依頼せず、自分で書類を作って申立可能

専門家報酬がゼロ

申立後は督促が事実上止まる

法的な「受任通知」効果はないが、調停申立を伝えると業者は取り立てを控える

電話・郵便が落ち着く

将来利息のカット

任意整理と同じく、合意成立後の利息はゼロが基本

元本のみの返済になる

裁判所の調停調書で強制力

一度合意すれば、業者側が後から覆せない

業者の言い逃れを防ぐ

借金の原因を問わない

ギャンブル・浪費でも申立可

自己破産より門戸が広い

整理対象を選べる

業者ごとに申立てできる

住宅ローン・保証人付きを除外可能

自分で動くことの教育的効果

借金の経緯と向き合い、家計管理力が身につく

再発防止の自覚が生まれる

たとえると、特定調停の最大の武器は「コスト」。3社の任意整理が15〜30万円かかるところ、特定調停なら 3,000円〜4,000円 で済むこともあります。30倍以上の価格差です。


③ 特定調停のデメリット・リスク

デメリット

内容

どう備えるか

過払い金は取り戻せない

過払い金返還請求は別途自分で訴訟が必要

過払いがありそうなら任意整理を選択

調停成立後の滞納で即強制執行

調停調書は強制執行力があるため、2回滞納で給料差押え等が可能に

履行可能な弁済額を厳しく見積もる

本人が出廷する必要

平日昼間に簡易裁判所へ。1業者あたり 2〜3回

仕事を休む必要、有給確保

調停不成立のリスク

業者が出廷しない・合意できない場合は不成立で振り出しに

17条決定での救済はあるが万能ではない

引き直し計算を自分で確認

利息制限法での再計算を調停委員任せにすると見落としリスク

取引履歴は自分で取り寄せ・計算

信用情報に事故登録(約5年)

任意整理と同じ扱い、CIC/JICC は完済から5年

デビットカード・家族カードで代替

業者ごとに別々の申立

5社あれば5回申立、5回×2〜3回出廷

大変な手間、でも費用は安い

複雑な案件には向かない

法的論点が多い案件・大口の借金は専門家対応が必須

借金 200万超なら任意整理推奨

業者の出廷拒否を防げない

業者には出廷義務がないため、無視されると話が進まない

大手消費者金融・信販系で実績ある業者を選別

「強制執行リスク」が一番怖い

たとえると、特定調停の調停調書は「裁判所のハンコ付きの借用書」。普通の借金なら滞納しても訴訟を起こされて判決を取られるまで給料差押えはできません。でも調停調書があると、滞納2回で即差押え可能。手続き直後の家計が安定するまで、特に注意が必要です。


④ 利用できる条件と向いている人

特定調停の法律上の要件は 「支払不能のおそれ」 + 「将来の収入で再建できる見込み」 の2つ。任意整理とほぼ同じハードルですが、本人申立てが原則のため 実務上のハードル が違います。

本人申立てに必要なもの(精神面・物理面)

必要なもの

詳細

平日昼間の時間

1業者あたり 2〜3回、簡易裁判所へ出廷

書類作成スキル

申立書・関係権利者一覧表・財産目録など

取引履歴の理解

利息制限法での引き直し計算を自分で確認

交渉力

調停委員の前で業者と直接やりとり

精神的な強さ

業者代理人と対峙する場面で気圧されない

計画性

履行可能な弁済額を冷静に見積もる

こんな人に向いています

  • 借金 100万円以下 で、過払い金がほぼ確実にない

  • 弁護士費用すら払えない(法テラスも使えない事情)

  • 時間に余裕がある(平日に複数回休める)

  • 自分で書類を作れる自信がある(行政書類の経験がある)

  • 業者の数が 1〜3社 と少ない

  • すでに業者と話していて、合意の見込みが立っている

  • 「自分の借金問題は自分で動いて解決したい」という意思がある

こんな人は 任意整理がおすすめ

  • 借金 200万円以上 または 業者が4社以上

  • 2007〜2010年以前から借入 がある(過払い金可能性)

  • 平日昼間に休めない

  • 業者と直接対峙したくない

  • 早く確実に解決したい

  • 法テラスの基準内(収入要件あり)

実情を率直に言えば、「特定調停 vs 任意整理」で迷ったら任意整理が安全です。費用差を考慮しても、任意整理の手間ゼロ・スピード・過払い金回収のメリット が大きい。


⑤ 特定調停と任意整理 — どう違うか

両者は目的が似ているため混同されがち。しかし 手続きの主体・スピード・コスト がまったく違います。

比較表

項目

特定調停

任意整理

手続き主体

本人 + 簡易裁判所

弁護士・司法書士

費用

1社 500〜1,200円

1社 4〜10万円

期間

3〜6ヶ月

3〜6ヶ月

督促停止

申立後(法的根拠なし)

受任通知で即停止(貸金業法21条)

過払い金回収

不可(別途訴訟)

同時に可能

強制力

調停調書 = 強制執行可

なし

滞納時のリスク

2回滞納で即差押え

業者と再交渉の余地あり

本人の手間

大(書類作成・出廷)

小(弁護士に丸投げ)

業者との対峙

あり(調停期日で直接)

なし

業者の対応

出廷を渋る業者あり

弁護士相手なら必ず対応

「コスト差は本当にお得か」

3社の借金を整理するケースで比較:

項目

特定調停

任意整理

費用

約 3,000円

12〜30万円

平日休む日数

6〜9日

0日

全体期間

4〜6ヶ月

3〜5ヶ月

過払い金

別途訴訟(さらに費用・時間)

同時回収

たとえると、特定調停は「DIY で家を建てる」、任意整理は「工務店に頼む」ようなもの。DIY のほうが安いのは確かですが、時間・労力・失敗リスク をすべて自分が引き受けます。普通は工務店(任意整理)が選ばれます。

弁護士費用が払えない場合の選択肢

「弁護士費用が払えないから特定調停」と決める前に、必ず以下を検討:

  • 法テラス の民事法律扶助(収入基準内なら立替、月5,000〜10,000円分割)

  • 弁護士事務所の分割払い(ほとんどが3〜12回分割可)

  • 受任通知後のプール金(借金返済停止期間に費用を積立)

これらでカバーできれば、任意整理が現実的な選択になります。


⑥ 本人申立てに必要な書類と取引履歴の取り寄せ

ここからは 本気で本人申立てを目指す人向け の実務詳細です。「自分で動く覚悟がある」前提で書きます。

申立に必要な書類一式

簡易裁判所に提出する書類は、おおむね次の6種類です。

書類名

内容

取得方法

特定調停申立書

申立の趣旨・原因・希望条件

簡易裁判所の書式(窓口・HP)

関係権利者一覧表

整理対象の業者一覧(業者名・住所・借入額)

自分で作成

財産目録

預貯金・不動産・自動車・保険などの一覧

自分で作成(残高証明取得)

家計収支表

過去2〜3ヶ月の収入・支出明細

自分で記録

借入経緯書

借金が膨らんだ経緯・反省

自分で作文(A4で1〜2枚)

取引履歴(業者別)

借入・返済の全履歴

各業者から取り寄せ

申立書の書き方のコツ

たとえると、申立書は「裁判所への手紙」。難しい法律用語ではなく、事実を時系列で淡々と書く のがコツ。「いつから」「どの業者から」「いくら借りて」「なぜ返せなくなったか」を書きます。

簡易裁判所の窓口で配布される書式に沿えば、迷うポイントは少ないです。書き方が分からない部分は窓口の書記官が親切に教えてくれます(法律相談ではない範囲で)。

取引履歴の取り寄せ手順

各業者に 電話 + 書面 で「取引履歴開示請求」をします。法律で開示義務があるので、業者は応じる必要があります。

業者タイプ

開示までの期間

手数料

大手消費者金融(アコム、プロミス、アイフル)

1〜2週間

無料

信販系(楽天、エポス、セゾン、オリコ)

2〜4週間

無料 or 1,000円程度

銀行カードローン

3〜6週間

無料 or 数百円

債権回収会社(サービサー)

2〜4週間(返事が遅いことも)

無料

完済済みの過去の業者

1〜2ヶ月(調査に時間)

1,000〜2,000円

開示請求書のサンプル文面:

取引履歴開示請求書

御社との取引について、下記事項を含む全ての取引履歴を、貸金業法第19条の2に基づき開示してください。

・契約日(基本契約・追加契約)
・各借入の年月日と金額
・各返済の年月日と金額・利息・元金充当額
・適用金利の推移
・現在の借入残高

なお、開示にあたっての送付先は下記の通りです。
〒XXX-XXXX  住所
氏名: ___________

以上、貸金業法に基づき速やかな開示をお願いします。

引き直し計算とは

業者の取引履歴は 当時の利率(年20〜29%) で記録されています。これを 利息制限法の上限金利(15〜20%) で再計算するのが「引き直し計算」です。

たとえると、引き直し計算は「過去のレシートを電卓で全部やり直す作業」。当時の高い金利を法律通りの金利に直すと、「実は払いすぎていた」分(過払い金) が出てくることがあります。

ツール:

  • エクセル の自作テンプレート(無料配布あり)

  • 「引き直し計算ソフト」 で検索(無料・有料あり)

  • 司法書士会・弁護士会の市民相談 で計算してもらう(無料 or 安価)

2010年6月以前の借入がある場合は 過払い金が出る可能性が高い ため、必ず引き直し計算を実施してください。過払い金が出るなら任意整理に切り替えたほうが得 です。


⑦ 費用の目安(2026年版)

特定調停の費用は 「裁判所への手数料」のみ が基本です。

費用項目

金額の目安

備考

申立手数料(収入印紙)

1社あたり 500円

借金額によって増えるが上限 1,000円

予納郵券(切手代)

1社あたり 800〜1,200円

業者への呼出状送付用

取引履歴取り寄せ手数料

1社あたり 0〜1,000円

業者によって有料・無料

合計の目安(1社あたり)

約 1,500〜3,000円

3社申立てした場合のざっくり試算

  • 申立手数料 500円 × 3 = 1,500円

  • 予納郵券 1,000円 × 3 = 3,000円

  • 合計 約 4,500円

任意整理(12〜30万円)と比べて 数十倍以上の差。費用面だけ見れば圧倒的です。

隠れたコスト(実は無視できない)

ただし、目に見えない費用 があります:

コスト項目

試算

平日に仕事を休む日数

6〜9日 × 時給 1,500円 × 8時間 = 72,000〜108,000円相当

書類作成の労力

弁護士なら数時間で終わる作業を 20〜40時間 かけて自分で

失敗リスク

調停不成立で振り出しの場合、追加で時間と労力

過払い金見落としリスク

数十万円単位の機会損失の可能性

たとえると、見えないコストを含めると「特定調停は安いけど高い」という逆説。本当の意味で安く済むのは、借金が少額で時間に余裕がある人 だけ。

法テラスを使えるなら任意整理が圧勝

弁護士費用を法テラスで立替えてもらえる場合、月々 5,000〜10,000円の分割で任意整理できます。年収の目安は単身者で 手取り月 18.2万円以下、4人家族で 30.0万円以下。これに当てはまるなら、特定調停より任意整理(法テラス経由)のほうが圧倒的にラク。

詳しくは「債務整理の費用はいくら?制度別の相場と払えないときの対処法」を参照。


⑧ 手続きの流れと期間

全体ステップ

ステップ

内容

期間の目安

1. 取引履歴の取り寄せ

各業者に請求(利息制限法で引き直し計算)

1〜2ヶ月

2. 申立書の作成

関係権利者一覧表・財産目録・家計収支表

1〜2週間

3. 簡易裁判所への申立

申立手数料 + 予納郵券を納付

1日

4. 第1回調停期日

申立人が出廷、調停委員と打合せ

申立から 1ヶ月後

5. 業者への呼出

業者が次回期日に出廷予定(出ない業者もあり)

6. 個別調停期日

業者ごとに調停委員 + 当事者で話し合い

業者ごとに 1〜3回

7. 調停成立 または 17条決定

合意内容を調停調書に記載

申立から3〜6ヶ月

8. 計画通りの返済開始

通常 3〜5年の分割返済

3〜5年

全体の期間

  • 申立から調停成立まで: 3〜6ヶ月

  • 完済までを含めると: 3.5〜6年

弁護士不要なので、相談から申立までのリードタイムは短いです。

申立から第1回期日までの過ごし方

申立から第1回期日まで 約1ヶ月空きます。この間にやっておくこと:

  • 業者ごとの希望条件 を整理(月いくらまで払えるか)

  • 想定問答集 を作成(次章で解説)

  • 家計収支表 を最新化

  • 追加書類 の準備(裁判所から指示があれば)

  • 督促が止まらなければ業者に連絡(「特定調停を申し立てました」と伝える)


⑨ 第1回調停期日でやること、想定問答集

調停期日は他サイトでほとんど触れられていない領域です。実際に何が起きるか を詳しく書きます。

服装・持ち物

項目

推奨

服装

スーツ または オフィスカジュアル(ジャケット推奨)

持ち物

申立書類のコピー、印鑑、身分証、メモ帳 + ペン

到着時間

期日の 15分前 に到着(受付・待機)

たとえると、第1回調停は「お見合いの初回顔合わせ」みたいなもの。第一印象が大事ですが、面接ほど厳格ではありません。清潔感と誠実さ が伝われば十分。

第1回期日の流れ(実例)

第1回は申立人だけが呼ばれ、業者は来ません。調停委員2名 + 申立人 の三者面談です。所要時間 30〜60分

[受付] → 「特定調停の申立人で○○です」と告げ、待合室へ
       ↓
[呼出] → 担当書記官が呼びに来る
       ↓
[調停室] → 調停委員2名(弁護士・元裁判官など)と対面
       ↓
[聴取] → 借金の経緯、現在の収入、希望する返済額を質問される
       ↓
[助言] → 調停委員から「この条件なら合意できそう」とアドバイス
       ↓
[次回日程調整] → 業者を呼ぶ第2回の日程を決める
       ↓
[終了] → 30〜60分で終了、書記官に書類控えを受け取る

よく聞かれる質問と模範回答

質問

模範回答

借金の経緯は?

時系列で 正直に(「○年に△△で◯◯万円借りて」「その後□□で…」)

なぜ返せなくなった?

客観的な事実(「収入減」「医療費」「家族の負担」など)

月いくらまで払えますか?

家計収支表を見せて 無理のない金額 を提示

整理対象から外す借入はある?

住宅ローン・車のローンは外すと明確に

過払い金の確認はした?

引き直し計算の結果を提示(してなければ「これから確認します」)

NG な受け答え

  • 数字を盛る(払える金額を多めに言う → 後で履行できなくなる)

  • 業者を悪く言う(調停委員の心証が悪くなる、客観性が失われる)

  • 感情的になる(涙ぐむのは構わないが、業者批判は避ける)

  • 「弁護士に聞かないとわかりません」(本人申立てなら自分で答える覚悟)

  • 書類を紛失(コピーを持参していない、家計表が古い等)

第2回以降のやりとり

第2回以降は 業者の代理人(弁護士・司法書士・社員) が同席します。

  • 調停委員が 間に立って交渉(直接の口論にはならないよう調整される)

  • 業者から 逆提示(「月◯円なら応じる」「分割回数は短く」など)

  • 申立人は その場で応じるか、次回までに検討するか を選べる

  • 合意できればその場で 調停調書 が作られる

  • 合意できなければ 第3回・17条決定・不成立

たとえると、調停期日は「サッカーのレフェリーがいる中で、相手チームと条件交渉する」場面。直接口論にならないよう調停委員が裁いてくれるので、本人だけで対峙するより圧倒的にラク。


⑩ 業者別の対応傾向と特定調停の難易度

特定調停は業者によって 応じやすさと条件 が大きく違います。実務の肌感覚を共有します。

業者別の調停対応傾向

業者タイプ

代表例

出廷率

和解傾向

大手消費者金融

アコム、プロミス、アイフル、SMBCモビット

高い

柔軟(将来利息ゼロ、60回分割が通りやすい)

信販系カード

楽天、エポス、セゾン、オリコ、ジャックス

中程度

概ね柔軟、遅延損害金を残すケース

銀行カードローン(保証会社)

アコム、SMBC系、楽天カード(保証)

高い

銀行→保証会社に移行後の交渉、一括要求あり

債権回収会社(サービサー)

ニッテレ債権回収、アビリオ債権回収 等

低〜中

短期分割を主張、長期化困難

中小消費者金融

名前を聞かない地元業者

低い

出廷を渋る、不成立で17条決定狙い

一部業者

日本保証、福ほう 等

極めて低い

原則拒否、調停不成立で訴訟 or 自己破産

「業者が出廷しない」リスクへの備え

特定調停の最大の難所が 業者の出廷拒否。任意整理なら弁護士相手だと業者は無視できませんが、特定調停では本人相手に 「忙しいから今度で」 と引き伸ばすことも。

たとえると、業者が出廷しないのは「相手が試合をボイコットする」状態。サッカーで対戦相手が来なかったら試合になりません。

対処の手順:

  1. 第1回期日で調停委員に相談 — 業者の対応経歴を聞く

  2. 書面での意見表明を求める — 業者に書面提出を促す

  3. 17条決定での救済を申立て — 当事者の合意なしでも調停案を成立させる

  4. それでも不成立なら 任意整理 or 自己破産に切り替え

大手 vs 中小: 難易度の違い

業者

難易度

大手消費者金融・大手信販

★☆☆ 比較的容易

銀行系・保証会社

★★☆ やや難(一括返済主張あり)

中小・債権回収会社

★★★ 難しい(出廷拒否も)

日本保証等の特殊業者

★★★★ 不成立前提で別制度

借入先が大手だけなら特定調停の成功率は高い。中小や特殊業者が混じると、本人申立てでは対応しきれないこともあります。


⑪ 17条決定と強制執行リスク

17条決定とは

調停期日で合意できないとき、裁判所が職権で「これで決めますね」と決定 する制度です(民事調停法17条)。

たとえると、子供の口喧嘩を見ていた先生が「もういい、こうしなさい」と仲裁する場面。当事者の合意がなくても、裁判所判断で調停案を成立させる救済策。

ただし、業者から 異議申立て が2週間以内にあると効力を失うため、万能ではありません。実務では 17条決定の半数程度が異議で取り消し になります。

17条決定が出やすい場面・出にくい場面

出やすい

出にくい

業者が出廷を拒否し続ける

業者が出廷して具体的な反論をしている

業者の主張が法外(暴利・違法金利)

業者の主張が合理的範囲

申立人の家計が逼迫し履行可能性が低い

申立人の収入が安定し履行可能性が高い

借入経緯に同情的事情がある

浪費・ギャンブルが原因

強制執行リスクという「諸刃の剣」

調停調書は 判決と同じ強制執行力 を持つため、滞納時の業者の動きが速くなります。

滞納時の流れ

普通の借金

特定調停後

1回目の滞納

督促状

督促状

2回目の滞納

一括請求の通告

即座に給料差押え可能

その後

訴訟 → 判決取得(数ヶ月)

既に債務名義あり、即執行

たとえると、調停調書は「業者が手にした宝刀」。普通なら鞘から抜くまでに何ヶ月もかかる差押えが、調停調書があると その日から振り下ろせる 状態。手続き直後の家計の安定が何より大切です。

滞納しそうになったらすぐ動く

調停成立後に支払いが厳しくなった場合:

  1. 業者に直接連絡 して再交渉(応じる業者は少ない)

  2. 弁護士に相談 して任意整理 or 自己破産への切替

  3. 黙って滞納するのは絶対NG(即差押え)

任意整理では「2回滞納でも業者と話し合いの余地あり」が一般的ですが、特定調停にはその余地がほぼない のが最大の弱点です。


⑫ 本人申立て準備チェックリスト

本気で本人申立てを目指す人向けの 直前チェックリスト です。

申立 1〜2ヶ月前

  • 借入先を全て洗い出した(1社も漏らさず、家族や知人からの借入も含めて)

  • 取引履歴を全社から取り寄せ済み(古い契約は時間がかかる)

  • 引き直し計算を実施(過払い金がないか必ず確認)

  • 過払い金の有無を確認(あれば任意整理に切り替え検討)

  • 法テラスの収入基準を確認(単身月18.2万以下/4人家族30万以下)

  • 任意整理との比較見積もり(弁護士の無料相談1回は必ず受ける)

申立 1〜2週間前

  • 申立書類一式を作成(簡易裁判所の書式に沿って)

    • 特定調停申立書

    • 関係権利者一覧表

    • 財産目録

    • 家計収支表(過去3ヶ月分)

    • 借入経緯書

  • 収入印紙と郵券を購入(業者数 × それぞれ)

  • 平日休めるかを職場に確認(最低6回・できれば9回)

  • 書類のコピー を取っておく(裁判所提出用と手元保管用)

申立直後〜第1回期日

  • 業者に「特定調停を申立てた」と連絡(督促が止まる)

  • 想定問答集を作成(前章のリストを自分用に整理)

  • 家計収支表を最新化

  • 服装・持ち物を準備

第1回期日後〜成立まで

  • 調停委員からの宿題に対応(追加書類など)

  • 業者の主張を踏まえた逆提案を準備

  • 履行可能な弁済額を冷静に再計算

  • 不成立になった場合の次の手 を弁護士に事前相談

成立後

  • 調停調書のコピーを保管(複数の場所に)

  • 返済スケジュールをカレンダー登録(毎月の支払日)

  • 滞納の兆しが見えたら即弁護士相談(強制執行を避ける)

たとえると、特定調停は「初めてのフルマラソン」。完走するには給水・補給・休憩の段取りを事前に決めておくことが必須。チェックリスト通りに動けば、本人申立てでも完走できます。


⑬ 信用情報と再スタート

特定調停も任意整理と同じ扱いで、3つの信用情報機関 に事故情報が登録されます。

機関

主な加盟先

登録期間

起算点

CIC

クレカ・信販・携帯キャリア

5年

完済から

JICC

消費者金融・信販

5年

完済 / 契約終了から(2019年10月以降)

KSC

銀行・信用金庫・保証会社

5年

代位弁済が発生した場合のみ

5年でできなくなる代表例

  • クレカ新規発行・更新

  • 住宅ローン・自動車ローン

  • スマホ端末の分割購入(一括ならOK)

  • 一部の賃貸契約(信販系保証会社を使うところ)

たとえると、信用情報の事故登録は「お金の通信簿に5年間赤いハンコ」。特定調停も任意整理も期間は同じ。ここで差はつきません。

5年の代替手段は デビットカード・家族カード・プリペイド型クレカ・後払いアプリ が広く使えます。詳細は「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」を参照。


⑭ 特定調停と他の制度との違い(4制度比較)

比較項目

特定調停

任意整理

個人再生

自己破産

仲介者

簡易裁判所

弁護士・司法書士

弁護士

弁護士

減額の程度

将来利息カット

将来利息カット

元本を最大1/10

原則全額免除

費用

1社 1,500〜3,000円

1社 2〜5万円×社数

50〜85万円

30〜100万円

期間

3〜6ヶ月

3〜6ヶ月

6ヶ月〜1年

3〜6ヶ月(管財なら〜1年)

出廷の要否

必要(本人)

不要

必要(数回)

必要(1〜2回)

過払い金

別途訴訟

同時回収

同時回収

同時回収

強制力

あり(強制執行可)

なし

あり

あり

信用情報

約5年

約5年

約5〜7年

約5〜7年

官報掲載

なし

なし

あり

あり

あなたに合うのはどれ?

状況

おすすめ

弁護士費用すら出せず、借金が少額(〜100万)で時間がある

特定調停

元本は返せる、利息だけがきつい

任意整理

家を残したい・元本もきつい

個人再生

元本を返せる見通しがない

自己破産

特定調停は 「弁護士費用を出せない人の最後の選択肢」 という位置づけ。それ以外の場合は他制度のほうが現実的です。

制度選びの詳細は「任意整理・個人再生・自己破産 — 条件の違いを一覧で確認」を参照。


⑮ よくある失敗例と対処

① 業者が調停期日に出てこない

特定調停の弱点。業者には出廷義務がない ため、出席を拒否されると話し合いが進みません。

対処: 17条決定での救済を裁判所に申し立てる。それでも異議申立てで覆ることがあるので、業者ごとの過去の対応傾向 を事前に調べる。

② 引き直し計算を調停委員任せにした

調停委員は法的なプロですが、1件あたりにかける時間は限定的。利息制限法での引き直し計算を見落とされ、本来取り戻せる過払い金を取り損ねた事例があります。

対処: 取引履歴は自分で取り寄せ、自分で引き直し計算 をしてから期日に臨む。Excelテンプレやオンラインツールを活用。

③ 調停成立後に滞納

最も致命的。調停調書は強制執行力があるため、2回滞納で即給料差押え されます。

たとえると、特定調停は「家のローンを組み直したら、その契約には差押え条項がついていた」状態。少しでも厳しくなったら、即座に弁護士に相談を。

④ 全件特定調停で進めてしまう

「業者が4社以上ある」「借金が200万超」「過払い金がありそう」場合は、任意整理に切り替えたほうが結果的に安い ことが多いです。

対処: 申立前に弁護士の 無料相談 を受け、特定調停と任意整理のシミュレーションを比較。

⑤ 業者に連絡せず申立

申立前に業者に挨拶せず、いきなり呼出状が届くと、業者が態度を硬化 させることがあります。

対処: 申立直前に「特定調停を申し立てる予定」と伝えると、業者によっては自主的に和解案を提示してくることも。

⑥ 履行可能な弁済額を見誤った

「とにかく早く決着させたい」と無理な金額で合意し、3ヶ月後に滞納 → 強制執行、というパターン。家計収支表を 甘めに作って いないか要注意。

対処: 食費・光熱費・通信費・予備費 を実際より多めに見積もり、収入は 手取りの最低額 で計算。それで払える金額を上限とする。

⑦ 浪費・ギャンブルが原因なのに反省を示さない

調停委員も人間です。借金原因の説明で 反省や生活改善の意思 が見えないと、心証が悪化して調停案が辛口になります。

対処: 借入経緯書に 客観的事実 + 反省の弁 を書く。「月◯円のパチンコを止め、家計簿を始めた」など 行動の変化 を示す。

⑧ 書類の不備で受付されない

申立書類に押印漏れ・記入漏れがあると その場で差し戻し。半日仕事を休んだのに無駄足、というケース。

対処: 裁判所窓口の事前相談 を活用(無料)。書類のチェックを受けてから正式提出する。

⑨ 平日に休めなくなって出廷できない

転職直後・繁忙期と重なると、出廷を欠席せざるを得なくなり調停が止まる。

対処: 申立前に 「向こう半年は最低6日休める」確証 を持ってから動く。職場との相談を先に。

⑩ 連帯保証人付きの借金を含めてしまった

整理対象に保証人付きの借入を入れると、保証人に一括請求が行く。家族が保証人なら家族に迷惑がかかる。

対処: 保証人付きの借金は 整理対象から外す(特定調停は業者単位で選べる)。または保証人と一緒に手続きする。


⑯ さらに詳しく知りたい方へ

特定調停と他の債務整理に関連するテーマを深掘りできます。

監修 奥野正智

ウイズユー司法書士事務所

奥野正智 司法書士

債務整理や闇金問題への対応を中心に、幅広い法務サービスを提供する司法書士・行政書士。これまでに8万件を超える闇金相談・解決実績を有し、特に違法業者への対応や借金問題の解決において豊富な経験を持つ。司法書士と行政書士のダブルライセンスを活かし、債務問題から各種手続きまで一貫した対応が可能。依頼者の状況を的確に把握し、迅速かつ実務的な解決を重視している。また、闇金被害に関する啓発活動にも取り組み、メディア出演や情報発信を通じて被害防止に寄与。法テラス登録相談員としての活動や、LEC東京リーガルマインド専任講師としての教育活動など、多方面で実務と社会貢献の両立を図っている。大阪司法書士会会員(第2667号)/簡裁認定番号第312416号/大阪府行政書士会会員(第7123号)/申請取次行政書士登録番号 行-172022200021

よくある質問

特定調停と任意整理、結局どちらがいいですか?

ほとんどの人は任意整理のほうが向いています。理由は3つ:

  1. 手間がほぼゼロ — 弁護士に丸投げできる(特定調停は本人が平日に出廷)

  2. 過払い金を同時に回収 — 特定調停は別途訴訟が必要

  3. 滞納時のリスクが低い — 任意整理は再交渉の余地があるが、特定調停は調停調書で 2回滞納で即差押え

たとえると、特定調停は「DIYで家を建てる」、任意整理は「工務店に頼む」ようなもの。DIYのほうが安いのは確かですが、時間・労力・失敗リスクをすべて自分が引き受けます。

特定調停を選ぶ価値があるケース:

  • 借金 100万円以下で過払い金もほぼない

  • 弁護士費用が出せない(法テラスも使えない特殊事情)

  • 平日昼間に何度も裁判所に行ける時間的余裕がある

それ以外なら任意整理が無難です。詳しくは「任意整理・個人再生・自己破産 — 条件の違いを一覧で確認」を参照。

本当に弁護士なしで自分でできますか?

法律上はできますが、ハードルは高いです。必要なものを整理すると:

  • 平日昼間の時間 — 1業者あたり2〜3回、簡易裁判所に出廷

  • 書類作成スキル — 申立書・関係権利者一覧表・財産目録など複数種類

  • 取引履歴の理解 — 利息制限法での引き直し計算を自分で確認

  • 交渉力 — 調停委員の前で業者と直接やりとり

たとえると、初めての引っ越しを引っ越し業者なしで全部やるようなもの。理屈ではできますが、書類の不備や見落としで 本来取り戻せる過払い金を逃す リスクがあります。

どうしても弁護士費用が払えない場合でも、法テラス(民事法律扶助制度) を使えば月5,000〜10,000円の分割で弁護士に依頼できます。「債務整理の費用はいくら?制度別の相場と払えないときの対処法」も参照。

費用が500円と聞きましたが本当ですか?

裁判所に納める手数料が1社あたり500円 という意味です。実際には他の費用も加わります。

費用項目

1社あたりの目安

申立手数料(収入印紙)

500円

予納郵券(切手代)

800〜1,200円

取引履歴取り寄せ

0〜1,000円

合計

約 1,500〜3,000円

3社申立てで 約 4,500〜9,000円 が現実的な総額です。

たとえると、「500円だけで進められる」という言い方は「東京から大阪に500円で行ける」と言うのと近い。新幹線代だけ示して、駅までの交通費・食事代を省いているようなもの。

それでも任意整理(1社2〜5万円 × 社数)と比べれば 数十倍以上安い のは事実。費用面の優位性は本物です。

過払い金は特定調停で取り戻せますか?

特定調停では取り戻せません。過払い金返還請求は 別途、訴訟または交渉 が必要です。

これが特定調停の最大の弱点で、2007〜2010年以前から借入がある人にとっては 大きな機会損失 になります。

たとえると、特定調停は「借金の整理」だけする手続き。過払い金は「業者からお金を返してもらう」別の手続きで、特定調停の流れに組み込めません。

対処の選択肢:

  1. 過払い金がありそうなら、最初から任意整理を選ぶ(同時に取り戻せる)

  2. 特定調停で借金整理 → 過払い金は 別途自分で訴訟(時間・労力 大)

  3. 特定調停で借金整理 → 過払い金請求は 弁護士に依頼(追加費用が発生し、結局任意整理と総コスト変わらず)

借入が古い業者と取引していた人は、過払い金チェックなしに特定調停を選ぶのは避けたほうが無難 です。「過払い金請求とは?対象・条件・手続きの流れをわかりやすく解説」を参照。

調停成立後に支払えなくなったらどうなりますか?

最大の注意点です。調停調書には強制執行力があるため、滞納時の業者の動きが速くなります。

滞納時の流れ

普通の借金

特定調停後

1回目の滞納

督促状

督促状

2回目の滞納

一括請求の通告

即給料差押え可能

その後

訴訟 → 判決取得(数ヶ月)

既に債務名義あり、即執行

たとえると、調停調書は「業者が手にした宝刀」。普通なら鞘から抜くまでに何ヶ月もかかる差押えが、調停調書があると その日から振り下ろせる 状態。

対処は3つだけ:

  1. 業者に直接連絡 して再交渉(応じる業者は少ない)

  2. 弁護士に相談 して任意整理 or 自己破産への切替

  3. 黙って滞納するのは絶対NG(即差押え)

任意整理では「2回滞納でも業者と話し合いの余地」が一般的ですが、特定調停にはその余地がほぼない のが最大の弱点です。

信用情報には載りますか?

載ります。特定調停は任意整理と同じ扱いで、CIC・JICC・KSC の3機関すべてに事故情報として登録されます。

機関

登録期間

CIC(クレカ・信販)

完済から5年

JICC(消費者金融)

完済 / 契約終了から5年

KSC(銀行・保証会社)

代位弁済時のみ 5年

5年でできなくなる代表例:

  • 新規クレカ発行・更新

  • 住宅ローン・自動車ローン

  • スマホ端末の分割購入(一括ならOK)

  • 一部の賃貸契約(信販系保証会社を使うところ)

たとえると、特定調停も任意整理も「お金の通信簿に5年赤ハンコ」は同じ条件。費用差はありますが、信用情報の影響は変わらないので、ここを理由に特定調停を選ぶ意味はありません。

5年の代替手段は デビットカード・家族カード・プリペイド型クレカ・後払いアプリ が広く使えます。詳細は「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」を参照。

何回くらい裁判所に行く必要がありますか?

業者1社につき 2〜3回、合計で 6〜9回ほど平日昼間に簡易裁判所へ出向きます。

典型的なスケジュール:

内容

所要時間

第1回

申立人の事情聴取(調停委員と打合せ)

30〜60分

第2回

業者の主張を聞き、初期調停案を検討

30〜60分

第3回

合意成立 or 17条決定

30〜60分

業者ごとに別期日が組まれるので、3社あれば 3 × 3 = 9回 のように増えます。

たとえると、転職活動の二次面接を業者ごとに3回ずつ受けるようなイメージ。1日あたり数時間の拘束ですが、有給休暇 が取りにくい職場だとかなりの負担に。

複数業者の調停を 同日に組んでもらう ようお願いすれば回数を減らせる場合もあるので、第1回で調停委員に相談を。

家族や職場にバレますか?

家族・職場ともに、ほとんどのケースで知られずに進められます

  • 簡易裁判所からの郵便物は 自宅に届く(弁護士事務所宛てにはできない、これが任意整理との違い)

  • 戸籍・住民票には載らない

  • 官報には載らない(任意整理と同じ)

  • 職場には 基本的に通知されない

ただし注意点:

  • 裁判所からの郵便物が自宅に届く → 同居家族に見られる可能性

  • 平日昼間に休む必要がある → 職場には何らかの説明が必要

たとえると、特定調停は「家族にバレるリスクが任意整理より少し高い」。任意整理なら弁護士事務所宛てに郵便物を集約できますが、特定調停は本人申立てなので自宅に届きます。

家族にバレずに進めたい場合は、郵便物を自分が先に受け取れる時間帯に郵便受けをチェック する工夫が必要です。詳しくは「債務整理すると家族にバレる?影響の範囲と対策を解説」を参照。

借金額がいくらまでなら特定調停が向いていますか?

目安は 100万円以下、業者数 1〜3社。これを超えると任意整理のほうが現実的です。

借金額・業者数別の推奨制度:

借金総額

業者数

おすすめ

〜100万円

1〜3社

特定調停 または任意整理

100〜300万円

1〜5社

任意整理

300〜500万円

任意

任意整理 または個人再生

500万円〜

任意

個人再生 または自己破産

たとえると、特定調停は「軽トラで荷物を運ぶ」ようなもの。荷物が少ないなら有利ですが、引っ越し並みの量があるならトラックを呼んだほうが結果的に安い。

借金が大きいほど、任意整理の費用差が借金圧縮の効果に飲み込まれて見えなくなる 関係です。判断は弁護士の 無料相談 で確認するのがおすすめ。

17条決定とは何ですか?

調停期日で当事者の合意に至らない場合、裁判所が職権で「これで決めますね」と調停案を出す 制度です(民事調停法17条)。

たとえると、子供の口喧嘩を見ていた先生が「もういい、こうしなさい」と仲裁する場面。当事者の合意がなくても、裁判所判断で調停案を成立させる救済策。

17条決定が出る場面

  • 業者が出廷を拒否する

  • 業者の提示条件と申立人の希望が大きく乖離

  • 話し合いを重ねても合意できない

17条決定の弱点

決定後 2週間以内 に当事者から 異議申立て があると効力を失います。実務では、17条決定の半数程度が業者の異議で取り消し に。

異議で取り消された場合

  • 特定調停は 不成立

  • 任意整理に切り替え or 自己破産・個人再生を検討

17条決定はあくまで 「調停成立の最後のセーフティネット」。出れば必ず勝てる制度ではありません。

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