個人再生

個人再生

住宅を残して借金を大幅減額。仕組み・条件・住宅ローン特則・費用・流れを網羅解説
更新日:

「家を残したまま、借金を大きく減らしたい」── そんな相談に 唯一答えられる制度 が個人再生です。

たとえると、引っ越しせずに家のローンだけ別枠にして、ほかの借金を1/5〜1/10にカットしてもらう手続き。任意整理(家賃の更新料を下げる)と自己破産(家を引き払って身軽に)の中間にある選択肢で、家・車・仕事を失わずに再建 できるのが最大の特徴です。

借金 600万円なら 120万円に圧縮。返済は 原則3年(最長5年) の分割で、毎月の負担も大幅に下がります。住宅ローンが残っていても 「住宅ローン特則」 を使えば、自宅は手放さずに済みます。

裁判所を通す手続きなので、任意整理より複雑で費用もかかります。ただ、家を残したい・元本を返しきれない・自己破産の資格制限を避けたい という人にとっては、ほかに代わりのない制度です。

この記事では、仕組み・2つの類型(小規模/給与所得者)・最低弁済額の計算・住宅ローン特則の4タイプ・費用・手続きの流れを、実務の数字とたとえ話で解説します。

① 個人再生とは — 制度の仕組みと法的根拠

個人再生は、民事再生法 に基づく裁判所手続きで、借金の元本を大幅に圧縮 して 3年(最長5年)の分割返済計画 を裁判所に認可してもらう制度です。正式名称は 個人再生手続(民事再生法第13章)

「圧縮」と「分割」の2段階

段階

何が起きるか

再生計画の認可

裁判所が「この圧縮額・分割計画でOK」と認める

計画通りの履行

3〜5年かけて減額後の借金を返済。完済で残債務免除

たとえると、3,000万円の家のローンを「やっぱり 1,500万円ぶんにしてもらえませんか」と銀行に頼むのは無理ですが、それを裁判所のお墨付きで認めてもらえる制度です。法的に減額された借金を、計画通りに返し切れば残りはチャラ。

根拠法と効果

  • 根拠: 民事再生法(230条以降に個人再生の特則)

  • 効果: 元本が最大1/10まで圧縮(後述の最低弁済額が下限)

  • 圧縮対象外: 税金、養育費、罰金、故意の損害賠償、住宅ローン(特則使用時)

2つの類型

類型

対象

特徴

小規模個人再生

誰でも使える(自営業・会社員問わず)

債権者の 書面決議 が必要(過半数+額の1/2以上の反対で否決)

給与所得者再生

サラリーマン・公務員など 安定収入 がある人

決議不要。代わりに 可処分所得2年分 の弁済が必要

実務では 小規模個人再生が約9割 を占めます。詳細は ⑤ で深掘り。


② 個人再生のメリット

メリット

内容

要するに

元本が最大1/10に圧縮

1500万円 → 300万円 等の大幅減額

月々の返済が劇的に下がる

持ち家を残せる

住宅ローン特則で自宅・住宅ローンは整理対象外

家族と引っ越さずに再建

自己破産の資格制限を避けられる

警備員・保険外交員・士業もそのまま継続

仕事を失わない

借金の原因を問わない

ギャンブル・浪費でも申立て可

自己破産の「免責不許可事由」がない

受任通知で督促が即停止

弁護士の通知で貸金業法21条により取り立てが止まる

当日から電話・郵便が止む

連帯保証人付きの借金も対象に

ただし保証人には一括請求が行く

整理範囲を選べないトレードオフ

認可決定で 強制力

反対した債権者も計画に拘束される

一部の業者の抵抗で潰れない

法テラス利用可

収入基準内なら弁護士費用を立替え

月5,000〜10,000円の分割返済


③ 個人再生のデメリット・リスク

デメリット

内容

どう備えるか

信用情報に事故登録(5〜7年)

CIC/JICC は完済から5年、KSC は再生開始決定から7年

デビットカード・家族カードで代替

官報に氏名が載る

開始決定・認可決定の時点で各2回掲載

一般人はまず見ない(金融機関の業務用)

手続きが複雑・期間が長い

申立から認可確定まで6ヶ月〜1年

弁護士依頼が事実上必須

費用が任意整理より高い

弁護士費用 50〜80万円 + 予納金

法テラス・分割払いを活用

借金が 5000万円超 だと使えない

住宅ローンを除いた額

5000万円超は会社更生・通常民事再生の領域

継続的な収入 が必要

3〜5年の分割返済を完走できる家計が前提

失業中・収入見込みなしは自己破産検討

保証人付きの借金 も対象

保証人に一括請求が行く(任意整理と違い選べない)

事前に保証人へ説明・対策

清算価値保障原則 で減額が頭打ちになることも

持ち家・退職金見込が大きいと、減額幅が制限される

⑧ で詳細解説


④ 利用できる条件 — 支払不能のおそれと収入要件

法律上の要件は 「支払不能のおそれ」 + 「継続的または反復的な収入の見込み」 + 「住宅ローンを除く借金が 5,000万円以下」 の3つ。

たとえると、まだ完全には溺れていないけれど、このままでは確実に沈む状態 ── そこに浮き輪(再生計画)を投げてもらう制度。すでに滞納まみれで自己破産しかない、という段階より少し手前で使うのが向いています。

必須要件

要件

目安

支払不能のおそれ

現状の収入では 3年以内の完済が困難 な状態

継続的・反復的な収入

給与・年金・営業所得など、毎月コンスタントに振り込み がある

借金総額(住宅ローン除く)

5,000万円以下

「継続的な収入」のハードル

正社員でなくても問題ありません。

収入の形

認められる?

正社員・公務員

◎ そのまま小規模/給与所得者再生

パート・アルバイト

○ 月8万円〜でも継続性があれば可

年金生活者

○ 年金は「継続的な収入」

自営業・フリーランス

○ 売上の波があっても、過去2年の平均で判断

失業中・収入なし

✕ 自己破産を検討

こんな人に向いています

  • 借金 300万円以上 で、利息カット程度では返せない

  • 持ち家を絶対に手放したくない(住宅ローン特則)

  • 自己破産の 資格制限が引っかかる職業(警備員・保険外交員・士業)

  • ギャンブル・浪費が借金原因で 自己破産の免責が不安

  • 退職金・財産があり、自己破産だと処分対象になる

利用条件の詳細は「個人再生の利用条件 — 住宅ローン特則が使えるケース・使えないケース」を参照。


⑤ 小規模個人再生 vs 給与所得者再生 — どちらを選ぶか

個人再生には2つの類型があり、選び方で 減額幅と確実性 が変わります。

比較項目

小規模個人再生

給与所得者再生

利用できる人

誰でも(自営業・派遣・主婦も可)

給与所得者で 収入の変動が小さい人

債権者の同意

必要(書面決議で過半数+額の1/2以上の不同意で否決)

不要(裁判所判断のみ)

最低弁済額

法定最低弁済額 と 清算価値 の高い方

上記 + 可処分所得2年分 の高い方

減額幅

大きい(給与所得者再生より少なくて済むことが多い)

小さい(可処分所得が多いほど弁済額アップ)

実務での割合

約9割

約1割

「決議が必要」とは

小規模個人再生は、債権者で「再生計画 OK ですか?」の多数決を取るイメージ。一定数以上の反対があると否決されます。否決される条件は:

  • 反対した債権者の数が過半数を超える

  • または反対した債権者の債権額合計が総額の1/2を超える

このどちらか1つでも満たすと、再生計画は通りません。

反対しそうな債権者がいる場合

特定の業者(例: 楽天銀行カードローン、一部の保証会社)は、小規模個人再生の決議で 積極的に反対する ことで知られています。借入総額の中でその業者の占める割合が大きいと、否決されるリスクが高まります。

そんなときに使うのが 給与所得者再生:

「多数決ではなく、裁判官の単独判断で通す」ルート。決議がないので反対できる債権者がいません。代わりに 「可処分所得2年分」を最低弁済額として上乗せ する条件付き。

可処分所得とは

可処分所得 = 年収 −(税金・社会保険料・生活費の最低基準額)

家族構成・地域・年齢で計算式が決まっており、東京の独身者なら年100〜150万円、4人家族なら50〜100万円程度が目安。この2年分が最低弁済額の下限 になります。

たとえると、年収400万円・家族4人の人なら、可処分所得は年80万円くらい → 給与所得者再生だと最低160万円は払う必要。これで小規模より弁済額が上がる場合があります。

選び方の鉄則

  1. まず小規模個人再生で進められないか検討(弁済額が少ないため)

  2. 反対が見込まれる業者がメイン債権者なら給与所得者再生

  3. 収入変動が大きい自営業は小規模一択(給与所得者再生は使えない)


⑥ 最低弁済額の計算 — どこまで減るか具体例

個人再生での減額後の借金額(=これから3〜5年で返す額)は、次の 3つの基準のうち最も高いもの に決まります。

  1. 法定最低弁済額(借金額に応じた最低ライン)

  2. 清算価値(自己破産で配当される額)

  3. 可処分所得2年分(給与所得者再生のみ)

法定最低弁済額の早見表

借金総額(住宅ローン除く)

法定最低弁済額

100万円未満

借金額そのまま(圧縮なし)

100万円 〜 500万円

100万円

500万円 〜 1,500万円

借金の1/5

1,500万円 〜 3,000万円

300万円

3,000万円 〜 5,000万円

借金の1/10

5,000万円超

個人再生不可

借金額別シミュレーション

借金総額

法定最低弁済額

月々の返済(3年計画)

300万円

100万円

約 27,800円

500万円

100万円

約 27,800円

800万円

160万円(1/5)

約 44,500円

1,500万円

300万円(1/5)

約 83,400円

2,500万円

300万円(最低保障)

約 83,400円

4,000万円

400万円(1/10)

約 111,200円

たとえると、借金が「重い」ほど減額の割合は大きくなります。500万円なら1/5、2500万円なら最低保障の300万円(=実質1/8〜1/10)、4000万円なら1/10。借金が大きい人ほど劇的に効く制度 です。

注意: 「清算価値保障」で頭打ちになることも

財産がある人は、上の表より弁済額が増えることがあります。詳細は次章。


⑦ 住宅ローン特則 — 4つの返済タイプ

個人再生の最大の武器が 住宅ローン特則(住宅資金特別条項) です。住宅ローンだけを 再生対象から外して 通常通り払い続けることで、家を手放さずに 他の借金を圧縮できます。

使うための条件

条件

詳細

自分名義の家であること

共有名義でもOK

主に居住している

別荘・投資用は不可

住宅ローンに 保証会社の代位弁済が完了していない こと

完了後 6ヶ月以内なら巻き戻し可能

住宅ローン以外の 担保権がついていない

事業資金担保等は不可

床面積の 半分以上が居住用

自宅兼店舗なら居住部分が半分以上

たとえると、住宅ローン特則は「家のローンだけ別席に座らせる特別ルール」。ほかの借金(カード・消費者金融)は1/5〜1/10に圧縮、家のローンだけはそのまま。家族で住み続けられます。

4つの返済タイプ

家計の状況に応じて、住宅ローンの返済方法を以下から選べます。

タイプ

内容

使う場面

期限の利益回復型

滞納していた分を 再生計画期間(3〜5年)で分納

過去に滞納あり、保証会社代位弁済が迫っている

リスケジュール型

返済期間を最長10年延長(70歳まで が上限)

月々の住宅ローン返済を下げたい

元本据置型

再生計画期間中は 元本据置で利息のみ支払い

再生計画の弁済で家計が苦しい3〜5年だけ猶予

同意型

上記以外を住宅ローン会社と個別合意

特殊事情で柔軟な対応が必要

「期限の利益回復型」が一番多い

実務で最も使われるのは 期限の利益回復型。住宅ローンを数ヶ月滞納している人が、保証会社の代位弁済で家を失う直前で巻き戻せる制度です。

たとえると、保証会社の代位弁済は「家のローン契約が一旦解約される」直前の状態。期限の利益回復型は、その契約を 元の状態に戻して、滞納分を分割で取り戻す 仕組みです。

代位弁済から 6ヶ月以内 なら巻き戻し可能。6ヶ月を過ぎると家は競売で失います。住宅ローンを滞納し始めたら、できるだけ早く弁護士へ。

詳しくは「債務整理すると持ち家・車はどうなる?財産への影響を制度別に整理」を参照。


⑧ 清算価値保障原則 — 自己破産との連動

個人再生での弁済額には、もう1つ重要な縛りがあります。

清算価値保障原則:

「もし自己破産していたら配当されていた額」を下回る再生計画は認可されない

つまり、財産を多く持っている人ほど、最低弁済額が増える ということ。

清算価値の計算

清算価値 = 自己破産時に処分対象となる財産の合計

主な計算項目:

  • 持ち家の評価額 − 住宅ローン残高 = 持ち家のオーバーバリュー分

  • 預貯金(20万円超分)

  • (処分見込価額20万円超分)

  • 保険解約返戻金(20万円超分)

  • 退職金見込額の 1/8(20万円超分)

たとえると、「自己破産すればこれだけ債権者に配当されたはず」のラインを、個人再生の最低弁済額に転写する仕組み。財産を残せる代わりに、その分は払ってね、というバランス。

シミュレーション例

借金 600万円・持ち家オーバーバリュー 200万円・退職金見込 800万円のケース:

基準

金額

法定最低弁済額(600万円 × 1/5)

120万円

清算価値(持ち家200万 + 退職金 800万 ÷ 8 = 100万)

300万円

最低弁済額(高い方)

300万円

この人の月々返済(3年)は 約83,400円。法定最低弁済額(120万円)の倍以上になります。

財産が多い人は「思ったより減らない」ケースもあるので、無料相談で必ず試算を。


⑨ 費用の目安(2026年版)

費用項目

個人再生委員なし

個人再生委員あり

弁護士費用

50〜80万円

50〜80万円

裁判所予納金

1〜2万円

15〜25万円(個人再生委員報酬)

官報広告費

約 1.5万円

約 1.5万円

合計の目安

50〜85万円

65〜110万円

個人再生委員とは

裁判所が任命する 再生計画のチェック係。家計の確認、再生計画の妥当性、履行テスト(後述)の見守りを担当します。

たとえると、家庭教師みたいな立場。書類のチェック・指導をしてくれる代わりに、その人件費(15〜25万円)を申立人が負担します。

東京地裁などは 弁護士付きでも個人再生委員を必ず選任 する運用。地裁ごとに違うので、申立先の運用を要確認。

お金がない場合

  • 法テラス(民事法律扶助): 弁護士費用を立替、月5,000〜10,000円で分割返済

  • 弁護士事務所の分割払い: 3〜12回の分割可能

  • 受任通知後のプール金: 借金返済が止まる期間(4〜6ヶ月)に費用を積立

たとえると、「再起する靴は法テラスが貸してくれる」イメージ。費用がない人にも、制度として救済の道があります。

詳しくは「債務整理の費用はいくら?制度別の相場と払えないときの対処法」を参照。

東京地裁の独自運用 — 個人再生委員が必須

東京地裁民事20部(倒産部)では、弁護士が代理人についていても個人再生委員が必ず選任 されます。これは全国でも東京独自の運用で、大阪地裁などでは弁護士付きなら原則不選任。

地裁

個人再生委員の選任

追加費用

東京地裁

必須(弁護士代理人ありでも)

15〜25万円

大阪地裁・他多数

弁護士代理人ありなら原則不選任

なし

たとえると、東京で個人再生するのは「ガイド付きツアーが必須のテーマパーク」。自分で歩けても必ずガイド料金が発生する仕組み。

東京地裁では、個人再生委員報酬を 「分割予納」(履行テスト) として申立後の毎月積立で支払う運用も特徴的です。これにより 履行可能性の事前確認 がより厳しく行われます。

なお、この運用を含めた東京地裁倒産部の独自運用全般について、日本司法書士会連合会・東京司法書士会から「法律上の根拠がない」との批判 があり、改善を求める決議・会長声明が公表されています。読者がご自身で原文に当たれるよう、参考リンクを示します。


⑩ 手続きの流れと期間

ステップ

内容

期間の目安

1. 相談・依頼

借入一覧・家計表・身分証・住宅ローン残高証明書を持参

即日〜1週間

2. 受任通知の送付

各債権者に発送、督促が その日から停止

当日〜数日

3. 取引履歴の取り寄せ・引き直し計算

過払い金チェック

1〜3ヶ月

4. 申立書類の作成

借入経緯・家計収支・財産目録・住宅資金特別条項案など30種類超

1〜3ヶ月

5. 申立 → 個人再生委員選任

個人再生委員と打合せ開始

申立後 1〜2週間

6. 履行テスト

想定弁済額を6ヶ月間積み立てて、本当に払えるか確認

6ヶ月間

7. 開始決定

履行テストをクリアすると開始決定

申立から1〜2ヶ月

8. 再生計画案の提出

弁済額・分割回数・住宅ローン特則の内容を盛り込む

開始決定から3ヶ月

9. 書面決議(小規模のみ)または意見聴取(給与所得者)

債権者の同意を集める

計画案提出から1ヶ月

10. 認可決定 → 確定

官報掲載から2週間で確定

決議から1〜2ヶ月

11. 計画通りの返済開始

認可確定の翌月から3〜5年返済

3〜5年

全体の期間

  • 申立から認可確定まで: 6ヶ月〜1年

  • 完済までを含めると: 3.5〜6年

弁護士依頼から申立まで含めると、全体で1〜1.5年 が目安です。


⑪ 履行テスト — 「払えるか」の事前リハーサル

個人再生で最も特徴的な仕組みが 履行テスト です。

履行テストとは

申立後、開始決定までの 約6ヶ月間、再生計画で想定する月々の弁済額(法定最低弁済額の 1/3 〜 同額)を、個人再生委員が指定する口座に積み立てる 制度です。

たとえると、ダンスの本番前のリハーサル。本当に毎月この金額を払えるかを6ヶ月かけて検証します。途中で1回でも積立てを飛ばすと、開始決定が遅れたり、再生計画が認可されにくくなったりします。

積立てたお金は

  • 計画認可なら: 弁済の頭金 or 債権者への配当

  • 不認可なら: 申立人に全額返金

つまり負担にはなりますが、損するお金ではありません

履行テストの実務

想定弁済額

テスト中の積立額

月 50,000円

月 50,000円(フル)

月 80,000円

月 50,000円 〜 80,000円(地裁判断)

月 100,000円

月 50,000円 〜 100,000円

地裁・個人再生委員によって運用が違います。「実際に払える金額か」を厳しく見られる ので、見栄を張らず、現実的な計画を組むのが鉄則。


⑫ 信用情報と再スタート

個人再生は 3つの信用情報機関(CIC・JICC・KSC) すべてに事故情報として登録されます。

機関

主な加盟先

登録期間

起算点

CIC

クレカ・信販・携帯キャリア

5年

完済から

JICC

消費者金融・信販

5年

完済から

KSC

銀行・信用金庫・保証会社

7年

再生開始決定から(2022年11月以降の運用)

5〜7年でできなくなる代表例

  • クレカ新規発行・更新

  • 新規の住宅ローン(ただし既存の住宅ローンは特則使用で継続可)

  • 自動車ローン

  • スマホ端末の分割購入(一括ならOK)

  • 一部の賃貸契約(信販系保証会社を使うところ)

たとえると、信用情報の事故登録は「免許停止」のようなもの。期間中は新規ローンが組めませんが、既存の住宅ローンは特則で守れる ところが個人再生の救いです。

代替手段として デビットカード・家族カード・プリペイド型クレカ・後払いアプリ が広く使えます。

詳細は「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」も参照。


⑬ 個人再生と他の制度との違い

比較項目

任意整理

個人再生

自己破産

減額の程度

将来利息のカット

元本を最大1/10に圧縮

原則 全額免除

裁判所

不要

必要(地裁)

必要(地裁)

対象の選択

借入先を選べる

全債権者が対象

全債権者が対象

住宅ローン

影響なし

住宅ローン特則で維持可能

原則処分

借金の原因問わず

△(免責不許可事由あり、ただし95%は裁量免責)

官報掲載

なし

あり

あり

資格制限

なし

なし

警備員・保険等、4〜6ヶ月のみ

信用情報の登録期間

約5年

約5〜7年

約5〜7年

費用の目安

1社2〜5万円×社数

50〜85万円

30〜100万円(管財なら +20〜50万円)

あなたに合うのはどれ?

状況

おすすめの制度

元本は返せる、利息だけがきつい

任意整理

家を残したい・元本もきつい

個人再生

資格制限のある仕事(警備員・保険等)

個人再生

ギャンブル・浪費が原因で免責が不安

個人再生

元本を返せる見通しがない、家もこだわらない

自己破産

病気・失業で収入が途絶えた

自己破産

制度選びの詳細は「任意整理・個人再生・自己破産 — 条件の違いを一覧で確認」を参照。


⑭ よくある失敗例と対処

① 履行テストの積立てを飛ばす

「今月は厳しいから来月まとめて2回分」── これがアウトです。1回でも飛ばすと「履行可能性がない」と判断され、再生計画が認可されない(廃止決定)リスクが上がります。

たとえると、運転免許の路上教習で1回でも遅刻したら、卒業検定の合格率が下がるようなもの。毎月確実に払うリズムを作る必要があります。

② 申立直前に財産を家族へ名義変更

直前に車や預金を家族に渡すと、清算価値の調査で 「隠した財産」 として上乗せされます。過去2年は調査対象

③ 一部の借入先だけ先に返した(偏波弁済)

「親から借りた分だけ先に返したい」「メインバンクのカードだけ完済しておきたい」── これは個人再生でも 不適切な行為 とされ、最悪の場合 計画認可が取り消し になります。

受任通知後はどの会社にも返済しないのが正解。家族・知人への返済も含めて、平等に扱うのが再生のルール。

④ 反対しそうな業者がメイン債権者なのに小規模を選ぶ

楽天銀行・一部の保証会社など、小規模個人再生の決議で積極的に反対する ことで知られる業者があります。総借入の中でその業者の占める額が大きいと 否決リスク

メイン債権者の傾向を弁護士が事前に調べて、給与所得者再生に切り替える判断 が必要です。

⑤ 家計の見栄えを気にして実際より低く申告

弁済額を少なくしたくて生活費を実際より高く申告すると、個人再生委員に 「履行可能性が低い」と判断 されて廃止のリスク。逆に低く申告して再生計画が無理に組まれると、後で履行できずに 再生取り消し

家計表は実際の数字を正直に。これが一番安全な道です。


⑮ さらに詳しく知りたい方へ

個人再生に関連するテーマを深掘りできます。

監修 奥野正智

ウイズユー司法書士事務所

奥野正智 司法書士

債務整理や闇金問題への対応を中心に、幅広い法務サービスを提供する司法書士・行政書士。これまでに8万件を超える闇金相談・解決実績を有し、特に違法業者への対応や借金問題の解決において豊富な経験を持つ。司法書士と行政書士のダブルライセンスを活かし、債務問題から各種手続きまで一貫した対応が可能。依頼者の状況を的確に把握し、迅速かつ実務的な解決を重視している。また、闇金被害に関する啓発活動にも取り組み、メディア出演や情報発信を通じて被害防止に寄与。法テラス登録相談員としての活動や、LEC東京リーガルマインド専任講師としての教育活動など、多方面で実務と社会貢献の両立を図っている。大阪司法書士会会員(第2667号)/簡裁認定番号第312416号/大阪府行政書士会会員(第7123号)/申請取次行政書士登録番号 行-172022200021

よくある質問

個人再生すると本当に持ち家を残せますか?

残せます。住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を使えば、住宅ローンだけを再生対象から外して これまで通り返済 し、家を維持できます。

たとえると、住宅ローンだけ「特別席」に座らせる仕組み。ほかの借金は1/5〜1/10に圧縮、家のローンはそのまま継続払い。

ただし条件があります:

  • 自分名義(共有名義もOK)の家であること

  • 主に居住用であること(別荘・投資用は不可)

  • 住宅ローンに 保証会社の代位弁済が完了していない こと(完了後6ヶ月以内なら巻き戻し可)

  • 住宅ローン以外の担保権がついていないこと

住宅ローンを数ヶ月滞納し始めたら、できるだけ早く弁護士に相談 してください。代位弁済から6ヶ月を過ぎると家を失います。

ギャンブルや浪費で作った借金でも個人再生できますか?

できます。個人再生は 借金の原因を問わない 制度です。自己破産と違い「免責不許可事由」がないため、ギャンブル・FX・買い物依存・ホスト通いが原因でも申立て可能。

たとえると、自己破産は「過去の借金の作り方を裁判官が審査する」のに対し、個人再生は「これからちゃんと返せるかだけを見る」制度。原因不問なのは大きなメリットです。

ただし注意点:

  • 支払不能のおそれ + 継続的な収入 は必須

  • 借金が膨らみすぎて 5,000万円超 だと使えない

  • 履行テストで 6ヶ月の積立て継続が求められる

ギャンブルを止めて家計を立て直す覚悟があるなら、個人再生は強力な選択肢です。

個人再生すると借金はどれくらい減りますか?

借金額に応じて 法定最低弁済額 が決まっています。次の表が早見表:

借金総額(住宅ローン除く)

最低弁済額(圧縮後)

100万〜500万円

100万円

500万〜1,500万円

借金の 1/5

1,500万〜3,000万円

300万円

3,000万〜5,000万円

借金の 1/10

たとえば借金 600万円 → 120万円、1,500万円 → 300万円、4,000万円 → 400万円に圧縮されます。

たとえると、借金が「重い」ほど減額の割合は大きくなる仕組み。借金 4,000万円が 400万円になる、というのは個人再生でしか起きない劇的な変化です。

ただし、清算価値保障原則 で「自己破産時の配当額」が上回る場合は、そっちが最低弁済額になります(持ち家・退職金見込みが大きい人は要注意)。

小規模個人再生と給与所得者再生、どちらを選べばいいですか?

ほとんどの人は小規模個人再生 を選びます(実務でも約9割)。理由は 弁済額が少なく済む から。

2つの違い:

比較

小規模個人再生

給与所得者再生

利用できる人

誰でも(自営業も可)

給与所得者で収入が安定している人

債権者の同意

必要(多数決で否決される可能性)

不要

最低弁済額

法定最低 と 清算価値 の高い方

上記 + 可処分所得2年分 の高い方

たとえると、小規模は「会議で多数決」、給与所得者は「裁判官の単独判断」。給与所得者は確実に通る代わりに弁済額が増える、というトレードオフ。

給与所得者再生を選ぶケース:

  • メイン債権者が決議で 積極的に反対する業者(楽天銀行カードローン、一部の保証会社など)

  • どうしても確実に通したい

それ以外は小規模で進めるのが基本です。判断は弁護士の無料相談で確認してください。

個人再生の手続きはどれくらい時間がかかりますか?

申立から認可確定まで 6ヶ月〜1年完済までを含めると 3.5〜6年 が目安です。

主な節目:

段階

期間

弁護士相談 → 受任通知

当日〜数日(督促が即停止

申立準備(書類作成)

1〜3ヶ月

申立 → 履行テスト

6ヶ月間(毎月積立)

開始決定 → 再生計画案作成・決議

3〜4ヶ月

認可決定 → 確定

1〜2ヶ月

計画通りの返済

3年(最長5年)

たとえると、引っ越し準備に半年・新生活の試運転に半年・本格スタート ── そんなイメージ。任意整理(3〜6ヶ月)より長いですが、効果(元本圧縮)は段違いです。

手続き全体の詳細は「債務整理の手続きの流れを図解 — 相談から解決までのステップ」を参照。

個人再生の費用はいくらかかりますか?

合計で 50〜110万円 が目安です。内訳:

費用項目

個人再生委員なし

個人再生委員あり

弁護士費用

50〜80万円

50〜80万円

裁判所予納金

約1〜2万円

15〜25万円(個人再生委員報酬)

官報広告費

約1.5万円

約1.5万円

合計

50〜85万円

65〜110万円

東京地裁などは弁護士付きでも個人再生委員を必ず選任する運用なので、実質 65〜110万円 と見ておいて間違いありません。

お金がない場合の対処:

  • 法テラス の立替制度(月5,000〜10,000円で分割返済)

  • 弁護士事務所の 3〜12回分割払い

  • 受任通知後の プール金 で積立て(借金返済が止まる期間に)

たとえると、「立ち上がる靴を法テラスが貸してくれる」。費用がないことを理由に諦める必要はありません。

保証人がついている借金は個人再生できますか?

できますが、保証人に一括請求が行きます。任意整理と違い、個人再生は 全債権者を対象 にするため、保証人付きの借金だけを除外することができません。

たとえると、保証人は「あなたの借金の連帯責任者」。本人が個人再生で減額されても、保証人の支払い義務はそのまま残り、債権者は保証人に「全額一括で払って」と請求 します。

対処の選択肢:

  1. 事前に保証人に説明 し、保証人も同時に債務整理する(任意整理 / 個人再生)

  2. 保証人付きの借金 だけ親族から借りて完済 してから個人再生

  3. 自己破産で保証人もまとめて整理

奨学金(日本学生支援機構)の連帯保証人になっている親族など、影響の大きい保証人がいる場合は、弁護士相談で必ず事前確認を。

個人再生は家族や職場にバレますか?

家族・職場ともに、ほとんどのケースで知られずに進められます

  • 裁判所からの郵便物は 弁護士事務所宛にできる

  • 戸籍・住民票には載らない

  • 職場には基本的に 通知されない

  • 官報には載る(開始決定・認可決定で各2回)が、一般人はまず見ない

ただし注意点:

  • 同居家族の収入証明 が申立書類に必要 → 家族には協力依頼が必要

  • 退職金見込額証明 が必要 → 会社に証明書発行を依頼するため、勤務先に手続きの存在は知られる可能性あり

  • 給料差押えがすでに進んでいる場合は、職場に通知が行っている

たとえると、官報は「金融機関の業務新聞」のようなもの。一般の人は読まないので、家族・職場が偶然見つけるリスクは限りなく低いです。

詳しくは「債務整理すると家族にバレる?影響の範囲と対策を解説」を参照。

個人再生中や認可後にローンを組めますか?

個人再生中も認可後5〜7年は新規ローンが組めません。信用情報機関に事故情報が登録されるためです。

  • CIC(クレジット系): 完済から5年

  • JICC(消費者金融系): 完済から5年

  • KSC(銀行系): 再生開始決定から7年(2022年11月から10年→7年に短縮)

組めなくなるもの:

  • 新規クレジットカード

  • 新規住宅ローン(既存の住宅ローンは特則使用で継続可

  • 自動車ローン

  • スマホ端末の分割払い(一括ならOK)

たとえると、信用情報の登録期間は「免許停止」。期間中は新規ローンが組めませんが、既存の住宅ローンを守れる のが個人再生の大きな救いです。

5〜7年の代替手段は デビットカード・家族カード・プリペイド型クレカ・後払いアプリ が広く使えます。詳細は「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」を参照。

個人再生の途中で計画通り返済できなくなったらどうなりますか?

まずは弁護士に相談してください。状況に応じて次の手段が取れます。

計画変更(履行困難時の延長)

やむを得ない事情(病気・失業など)で支払いが厳しくなった場合、返済期間を最長2年延長 できます(合計で最長5年→最長7年)。これを 「再生計画の変更」 と呼びます。

ハードシップ免責

計画弁済額の 3/4以上 を返済済みで、再生計画変更でも履行が困難な場合、残りの返済を免除してもらえる 「ハードシップ免責」 という制度があります。要件は厳しめですが、最後の砦になります。

計画取消・自己破産への移行

上記でも対応できない場合、個人再生の計画取消 → 自己破産に切替 することも可能。元の借金額に戻ってしまいますが、自己破産で全額免除を受けて再スタートできます。

たとえると、リスケ → ハードシップ → 自己破産 という3段階のセーフティネット。途中で投げ出さず、必ず弁護士に相談すれば、何らかの解決策があります。

大事なのは 黙って滞納しないこと。1回滞納する前に必ず弁護士に連絡してください。

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