自己破産

自己破産

すべての借金をゼロに。仕組み・免責不許可事由・費用・手続きの流れを網羅解説
更新日:

「自己破産」と聞いて、家も財産もぜんぶ失って人生をリセットされる ── そんなイメージを持っていませんか。

実際は違います。99万円までの現金は手元に残せる家族の信用情報や仕事には影響しない制限のある期間は4〜6ヶ月だけで、それを過ぎたら普通に生活が戻ります。

たとえると、自己破産は「家ごと取り壊して更地にする」のではなく、「重すぎる荷物だけ降ろして身軽になる」ような手続きです。荷物を降ろすあいだ、一時的にいくつか不便なことはあっても、降ろし終わったらまた歩き出せます。

自己破産は、裁判所に 「もう返しきれません」と認めてもらい、借金そのものをゼロにしてもらう 手続き。実際に申し立てた人の 95%以上が免責(借金免除)を受けて、人生を再スタートさせています。

この記事では、仕組み・メリット・デメリット・残せる財産・費用・手続きの流れ・誤解されやすい影響を、実務の数字とたとえ話で解説します。

① 自己破産とは — 制度の仕組みと法的根拠

自己破産は、破産法に定められた正式な裁判所手続きです。「もう支払いきれない」状態(支払不能)の人が裁判所に申し立て、財産を換金して債権者に分配したうえで、残った借金の返済義務を消してもらう(免責) という2段階で進みます。

「破産」と「免責」は別物

段階

何が起きるか

破産手続開始決定

裁判所が「もう返済不能ですね」と認める。財産があれば換金・分配する

免責許可決定

「残った借金を返さなくてよい」と裁判所が確定する

この2つは別の決定ですが、個人の自己破産では ほぼ同時並行で進み、最終的に免責が確定すれば借金がゼロになります

たとえると、「破産」は車検に出して『この車はもう走れません』と認定してもらう段階、「免責」は『廃車証明書』を発行してもらう段階です。免責が出てはじめて、借金という車から解放されます。

根拠法と免責の効果

  • 根拠: 破産法(253条で免責の効果を規定)

  • 効果: 税金・養育費・故意の不法行為による損害賠償 など一部を除き、ほぼすべての借金が消える

  • 残るもの: 税金、健康保険料、年金、罰金、養育費、故意の損害賠償など


② 自己破産のメリット

メリット

内容

要するに

借金がゼロになる

免責許可で消費者ローン・カード・銀行・連帯保証債務まで一括免除

月々の返済から完全に解放される

受任通知で督促が即停止

弁護士の通知で貸金業法21条により直接取り立てが止まる

電話・郵便がぱたっと止む

99万円までの現金は残せる

「自由財産」として手元に残る。生活の再建資金になる

ゼロからのスタートではない

取り立て訴訟・差押え対策になる

既に裁判や給与差押えが進んでいても止められる

給料が守られる

法テラスで費用を立替えできる

収入・資産が一定以下なら立替可、月5,000〜10,000円で分割返済

お金がなくても進められる

最終的な「再スタート」

免責確定後は何の借金も残らない。家計を一から組み直せる

5〜7年でクレカも作れる


③ 自己破産のデメリット・リスク

デメリット

内容

どう備えるか

信用情報に事故登録(5〜7年)

CIC/JICC は免責決定から5年、KSC は開始決定から7年

デビットカード・家族カードで代替

一定額以上の財産は処分される

99万円超の現金、20万円超の預貯金・車・保険解約返戻金等

残せる範囲は事前に弁護士と確認

持ち家は原則処分

住宅ローン特則は 個人再生だけ。自己破産では家を残せない

家を残したい場合は個人再生を検討

官報に氏名が載る

「破産者公告」として住所と名前が官報に掲載される

一般の人はまず見ない(金融機関の業務用)

一部の職業に一時的な制限

警備員・生命保険外交員・宅建士・士業など。4〜6ヶ月のみ

期間中は休職・配置転換で対応可能

連帯保証人に請求が行く

親族や知人が保証人なら、その人が一括請求される

保証人付きの借金は事前に相談・対応

浪費・ギャンブルが原因だと面接が厳しめ

「免責不許可事由」に該当。ただし95%以上は 裁量免責 で許可される

反省文・家計簿で誠意を示す


④ 利用できる条件 — 支払不能と免責の関係

「支払不能」とは

法律上の要件は 「支払不能」(破産法15条)。生活費を確保したうえで毎月の返済が継続的に難しい状態を指します。

たとえると、月収から家賃と食費を引いた残り(=返済原資)が、最低返済額を下回り続けている状態。一時的に苦しいだけでは「支払不能」と認められません。

目安

  • 借金総額が 手取り年収の 2〜3倍以上

  • 生活費を切り詰めても返済が 3年以内に終わる見通しが立たない

  • 既に滞納していて、信用情報に事故登録の予兆がある

免責不許可事由(裁量免責で救済される)

借金の作り方によっては、原則として免責が出ない「免責不許可事由」に該当することがあります。代表例:

事由

具体例

浪費・ギャンブル

パチンコ・競馬・FX・暗号資産・ホスト・買い物依存

財産隠匿

通帳の操作、車の名義変更で財産を隠す

偏波弁済

一部の借入先(家族・親しい知人)だけに先に返済する

虚偽申告

収入・財産・借入先を申立書に書かない

過去7年以内の免責

1度自己破産してから7年経っていない

ただし、実務では95%以上の人が免責を受けています。理由は 裁量免責 という制度。

たとえると、「免責不許可事由は赤信号、でも裁判官の目視判断で青信号にしてもらえる横断歩道」。反省文・家計簿・生活改善の実行を示せば、ギャンブル原因でも免責される例は珍しくありません。

詳細は「自己破産できる条件・できない条件を総整理 — 免責不許可事由とは」を参照。


⑤ 同時廃止と管財事件 — どちらになるか

自己破産には 2つのコース があります。財産の有無や免責不許可事由の有無で振り分けられます。

比較項目

同時廃止

管財事件(少額管財)

対象

換金できる財産が ほぼない ケース

20万円以上の財産がある/免責不許可事由が重い

全体の割合

7割

3割

破産管財人

選任されない

選任される(弁護士が担当)

予納金(裁判所への実費)

2万円

20万円〜(少額管財)/50万〜700万円(通常管財)

期間

3〜6ヶ月

6ヶ月〜1年以上

債権者集会

なし

あり(管財人面接 + 集会)

たとえると、軽自動車の車検と普通車の車検の関係。荷物(財産)が少なければ短くて安い同時廃止、それなりにあれば管財人が「中身を整理して分配する」管財事件に。

弁護士に依頼すると「少額管財」になりやすい

通常の管財事件は予納金 50万円以上ですが、弁護士が代理人につくと「少額管財」(予納金20万円) で済むケースが多いです。本人申立だと通常管財扱いになる地裁が多く、これだけで30万円以上の差が出ます。

東京地裁の独自運用(特に注意)

東京地裁民事20部(倒産部)は、平成11年(1999年)から 少額管財・即日面接を 弁護士代理人ありの事件に限定 する運用を続けています。これは全国でも東京だけの運用で、本人申立率は 14.18%(平成11年)→ 0.31%(平成18年)に激減 しました。

申立形態(東京地裁)

予納金

期間

弁護士代理あり

少額管財 20万円〜

即日面接で短縮

本人申立て

通常管財 50万円以上

即日面接が利用できない

差額が 30万円以上 にもなるため、東京で自己破産するなら 法テラスを使ってでも弁護士に代理人を依頼 するほうが結果的に安く済むケースが多いです。

たとえると、東京は「弁護士券がないと入口料金が2倍以上の高速道路」。本来は同じ目的地に着くのに、代理人がいないと予納金で大きな差がつく構造になっています。

なお、この運用については 日本司法書士会連合会・東京司法書士会から「法律上の根拠がない」「市民の経済生活再生の機会を妨げる」との批判 があり、改善を求める決議・会長声明が公表されています。読者がご自身で原文に当たれるよう、参考リンクを示します。


⑥ 残せる財産(自由財産)— 「ゼロから出直し」じゃない

自己破産すると全部の財産を失う という誤解は多いですが、実際には 「自由財産」 として手元に残せる枠があります。

自由財産の枠

上限の目安(東京地裁基準)

現金

99万円 まで

預貯金(合算)

20万円 以下

自動車(処分見込価額)

20万円 以下(古い車・軽自動車はOK)

生命保険の解約返戻金

20万円 以下

退職金(支給見込額の 1/8 相当)

20万円 以下(=退職金見込 160万円以下)

退職金(1/8 が 20万円超の場合)

8分の7 が手元に残る(つまり退職金の 87.5%)

家財道具・生活用品

原則すべて

当面の生活費

必要分は申立 + 自由財産拡張で残せる

たとえると、RPG ゲームで「リセット」しても、装備品の中で大事なものはそのまま持ち越せる仕組み。手元には引越し資金や数ヶ月の生活費を残して、再スタートできるよう設計されています。

「自由財産の拡張」

上記を超える財産でも、生活再建に必要なら 自由財産の拡張 を申立てて残せる場合があります(生活必需の医療機器、通勤車両、家族の生活費など)。地裁ごとに運用が違うので、弁護士相談で必ず確認してください。


⑦ 費用の目安(2026年版)

費用項目

同時廃止

少額管財

通常管財

弁護士費用(着手金+報酬)

30〜50万円

40〜60万円

50〜100万円

裁判所予納金

2万円

20万円〜

50万〜700万円

官報広告費

約 1.1万円〜1.9万円

約 1.5万円〜

約 1.5万円〜

合計の目安

30〜50万円

60〜80万円

100〜800万円

「お金がないのに自己破産できるの?」

できます。代表的な道筋:

  • 法テラス(民事法律扶助) — 収入・資産が基準以下なら弁護士費用を立替え。月 5,000〜10,000円 で分割返済

  • 弁護士事務所の分割払い — 多くが 3〜12回の分割可

  • 受任通知後のプール金 — 借金返済が止まる期間に費用を積み立てる(任意整理と同じ)

たとえると、「動けないほど消耗しているなら、立ち上がるための靴は法テラスが貸してくれる」イメージ。「破産する金もない」状態でも、制度として救済の道が用意されています。

詳しくは「債務整理の費用はいくら?制度別の相場と払えないときの対処法」を参照。


⑧ 手続きの流れと期間

ステップ

内容

期間の目安

1. 相談・依頼

借入一覧・家計表・身分証を持参。委任契約

即日〜1週間

2. 受任通知の送付

各債権者に発送、督促が その日から停止

当日〜数日

3. 取引履歴の取り寄せ・引き直し計算

過払い金チェック

1〜3ヶ月

4. 申立書類の作成

借入経緯・家計収支・財産目録など30種類超

1〜3ヶ月

5. 申立 → 裁判官面接(即日面接)

同時廃止か管財事件かの振り分け

申立から3開庁日以内

6. 開始決定

同時廃止ならこの時点でほぼ終わり、管財事件なら本格スタート

即日〜2週間

7. 管財人面接(管財事件のみ)

弁護士の管財人が事情聴取

1ヶ月後

8. 債権者集会(管財事件のみ)

管財人の業務報告。10〜15分で終わることが多い

面接から1.5ヶ月後

9. 免責審尋

裁判官との5〜10分の面接(質問は数問のみ)

開始決定から2〜4ヶ月後

10. 免責許可決定 → 確定

官報掲載から2週間で確定

審尋から1〜2ヶ月後

全体の期間

  • 同時廃止: 申立から免責確定まで 3〜6ヶ月

  • 少額管財・管財事件: 6ヶ月〜1年以上

弁護士依頼から申立までも含めると、全体で半年〜1年半 が目安です。

たとえると、債権者集会は「学校の保護者会」みたいなもの。出席は怖そうに聞こえますが、実際は管財人が報告して10分で終わる地味な会議です。免責審尋も「面談5分・質問数問」レベルで、テレビドラマのような大事ではありません。


⑨ 資格制限と「復権」

自己破産すると、一部の職業・資格に一時的な制限 がかかります。期間は破産手続開始決定から免責確定まで(通常 4〜6ヶ月)。免責確定で 自動的に復権 し、すぐ元に戻ります。

制限される代表的な職業

カテゴリ

警備関連

警備員(警備業法)

保険関連

生命保険募集人、損害保険代理店、保険外交員

法律・会計

弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士

不動産

宅地建物取引士、不動産鑑定士

その他

旅行業務取扱管理者、後見人、遺言執行者

制限されない職業

  • 公務員(多くの場合)、会社員、医師・看護師、教員、大半のサービス業など

  • 大多数の人は仕事への影響なし

たとえると、運転免許の「短期免許停止」みたいなもの。一部の職種だけが対象で、期間も4〜6ヶ月限定。免責が確定した瞬間に「免許再交付」されます。

退職する必要はない

警備員や生命保険募集人でも、退職する義務はありません。多くの人は 休職・配置転換 で乗り切っています。雇用主に説明する義務もないため、上司に黙って数ヶ月で復権、というケースが大半です。

詳しくは「債務整理しても仕事は続けられる?職場への影響と資格制限」を参照。


⑩ 家族・住居・仕事への影響(誤解を解く)

「自己破産=家族の人生も終わる」というのは 完全な誤解 です。整理しておきます。

家族への影響

質問

答え

配偶者の信用情報に登録される?

されない。信用情報は本人のみ

配偶者の給料・財産は処分される?

されない。家計を共有していても別人格

子供の進学・就職に影響する?

しない。本人が学費ローン保証人になれないだけ

子供は奨学金を借りられる?

借りられる(機関保証を選べばOK、人的保証は親以外で可)

たとえると、自己破産は「ご本人だけの離婚届」みたいなもの。家族の戸籍や財産はそのまま。唯一気をつけるのは、家族が連帯保証人になっている場合で、その人には一括請求が行きます。

持ち家・賃貸

ケース

どうなるか

持ち家(住宅ローン残あり)

原則処分。住宅ローン特則は個人再生のみ

持ち家(オーバーローン:ローン残>家の価値)

処分されないことも。任意売却で住み替え

賃貸住まい

基本そのまま。家賃滞納がなければ追い出されない

新規の賃貸契約

信販系保証会社を使う物件は審査に落ちる可能性あり

賃貸契約時の保証会社は、信販系(オリコ・アプラス等)と独立系の2タイプ。独立系の保証会社を使う物件なら、信用情報をチェックしないので入居可能 です。

仕事

  • 9割以上の職業で制限なし

  • 制限ありの職業も期間は4〜6ヶ月だけ(前章参照)

  • 雇用主への通知義務なし、黙って手続きを終える人も多い

  • 給料は破産後も全額本人のもの(差押えされている給料は破産で止まる)

債務整理すると家族にバレる?影響の範囲と対策を解説」も参考に。


⑪ 信用情報と再スタート

自己破産は 3つの信用情報機関(CIC・JICC・KSC) すべてに事故情報として登録されます。期間は機関ごとに違います。

機関

主な加盟先

登録期間

起算点

CIC

クレカ・信販・携帯キャリア

5年

免責決定から

JICC

消費者金融・信販

5年

免責決定から

KSC

銀行・信用金庫・保証会社

7年

破産手続開始決定から

KSC が「7年」になった経緯(2026年時点の最新)

KSC は以前 10年間 登録していましたが、2022年11月から7年に短縮 されました。これにより、自己破産後の「ブラックリスト全消し」までの期間も7年に短縮されたことになります。

5〜7年でできなくなる代表例

  • クレカ新規発行・更新

  • 住宅ローン・自動車ローン

  • スマホ端末の分割購入(一括ならOK)

  • 一部の賃貸契約(信販系保証会社を使うところ)

  • 子供の奨学金の保証人(機関保証で代替可)

たとえると、信用情報の登録期間は「免許停止期間の数え方」。CIC/JICC は「免許再交付までの猶予」を 免責決定から5年、KSC は「もっと厳格に」開始決定から7年 とルールが決まっています。

代替手段として デビットカード・家族カード・プリペイド型クレカ・後払いアプリ が広く使えます。

詳細は「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」も参照。


⑫ 自己破産と他の制度との違い

比較項目

任意整理

個人再生

自己破産

減額の程度

将来利息のカット

元本を 最大1/10に圧縮

原則 全額免除

裁判所

不要

必要(地裁)

必要(地裁)

対象の選択

借入先を選べる

全債権者が対象

全債権者が対象

住宅ローン

影響なし

住宅ローン特則で維持可能

原則処分

官報掲載

なし

あり

あり

資格制限

なし

なし

警備員・保険等、4〜6ヶ月のみ

信用情報の登録期間

5年

5〜7年

5〜7年

費用の目安

1社2〜5万円×社数

50〜80万円

30〜100万円(管財なら +20〜50万円)

「家を残したい」「収入はある」なら個人再生

あなたの状況

おすすめの制度

元本を返せる、利息だけがきつい

任意整理

元本も厳しい、でも家は残したい

個人再生

元本を返せる見通しがない、家もこだわらない

自己破産

病気・失業で収入が途絶えた

自己破産

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⑬ よくある失敗例と対処

① 申立直前にギャンブル・浪費を続けた

開始決定の 1〜2年以内 にパチンコ・FX・買い物依存などで作った借金があると、管財事件に振り分けられ免責調査が厳しくなります。

たとえると、車検出す当日に新品の傷をつけてしまうような状態。手続きを決めたら、その瞬間からギャンブルは止め、家計簿を始めましょう。

② 一部の借入先だけ先に返した(偏波弁済)

「親に借りたぶんだけ先に返したい」「カード会社の中で1社だけ完済しておきたい」── これは 偏波弁済 といって、破産管財人が後から取り戻し(否認権)の対象になります。

たとえると、リストラの対象を先に教えて1人だけ逃がすような行為。全債権者を平等に扱うのが破産のルールです。受任通知後はどの会社にも返済しないのが正解。

③ 財産を家族に名義変更した

直前に車や預金を家族に名義変更すると、管財人が 取り戻し請求 をします。過去2年分は調査対象

④ 借入先を一部隠した

「恥ずかしい借入先(消費者金融など)」を申立書に書かなかったケース。取引履歴の取り寄せでほぼバレますし、虚偽申告として 免責不許可 の直接理由になります。

弁護士には守秘義務があります。何を話してもよそに漏れません。

⑤ 浪費・ギャンブルが原因なのに反省文を出さない

これは「やり直しをサボる」のと同じ。ギャンブル原因でも、反省文 + 家計簿 + 生活改善の実行 を見せれば裁量免責で救済されます。

自己破産の反省文の書き方は「自己破産における反省文の例文、ポイントは反省に徹しろ」を参照。


⑭ さらに詳しく知りたい方へ

自己破産に関連するテーマを深掘りできます。

監修 奥野正智

ウイズユー司法書士事務所

奥野正智 司法書士

債務整理や闇金問題への対応を中心に、幅広い法務サービスを提供する司法書士・行政書士。これまでに8万件を超える闇金相談・解決実績を有し、特に違法業者への対応や借金問題の解決において豊富な経験を持つ。司法書士と行政書士のダブルライセンスを活かし、債務問題から各種手続きまで一貫した対応が可能。依頼者の状況を的確に把握し、迅速かつ実務的な解決を重視している。また、闇金被害に関する啓発活動にも取り組み、メディア出演や情報発信を通じて被害防止に寄与。法テラス登録相談員としての活動や、LEC東京リーガルマインド専任講師としての教育活動など、多方面で実務と社会貢献の両立を図っている。大阪司法書士会会員(第2667号)/簡裁認定番号第312416号/大阪府行政書士会会員(第7123号)/申請取次行政書士登録番号 行-172022200021

よくある質問

自己破産すると家族の信用情報にも影響しますか?

影響しません。信用情報は本人ごとに独立して管理されており、配偶者・子供・親が原因で家族の名前が事故情報に載ることはありません。

たとえると、運転免許の違反点数のようなもの。本人にしかつかず、家族にコピーされることはありません。

ただし、家族が 連帯保証人 になっている借金を整理すると、その家族には一括請求が行きます。これは信用情報ではなく契約上の話なので、別途相談が必要です。詳しくは「債務整理すると家族にバレる?」をご覧ください。

持ち家がありますが、自己破産すると家を失いますか?

原則として持ち家は処分対象になります。住宅ローン特則は 個人再生だけ にある制度で、自己破産では家を残せません。

ただし、オーバーローン(住宅ローン残高が家の市場価値より大きい状態)なら、家を残せる例外もあります。家を売っても1円も残らないので、管財人が処分しても債権者にお金が回らないためです。

家を残したい場合は 個人再生 が選択肢になります。「自己破産で持ち家はどうなる?」も参照してください。

自己破産したら仕事を辞めなくてはいけませんか?

ほとんどの仕事は辞める必要ありません。会社員・公務員・医療従事者・教員など、9割以上の職業に制限はかかりません。

制限がかかるのは 警備員・生命保険外交員・宅建士・士業など限られた職種 で、しかも期間は 破産手続開始から免責確定までの4〜6ヶ月だけ。免責が確定すれば自動的に「復権」して、すぐ元の仕事に戻れます。

たとえると、運転免許の短期停止のようなもの。期間限定で、終わればすぐ復帰できます。

対象職種の方も、退職する必要はなく、休職や配置転換で乗り切るケースが大半です。

ギャンブルや浪費で作った借金でも自己破産できますか?

できる可能性が高いです。ギャンブル・浪費は法律上「免責不許可事由」に該当しますが、実務では 裁量免責 で95%以上が免責を受けています。

たとえると、「赤信号でも、警官が手で『進め』と合図してくれる横断歩道」。原則ダメ → でも事情を見て個別に許可、という運用になっています。

大事なのは:

  • 反省文 で経緯と反省を具体的に書く

  • 家計簿 をつけて生活改善の実行を見せる

  • 申立後は 絶対にギャンブルをしない

の3点。これらを管財人に示せば、ギャンブル原因でも免責される例は珍しくありません。詳細は「免責不許可事由とは?」をご覧ください。

自己破産にお金がかかると聞きました。お金がない人はどうすれば?

「お金がないから破産する」のに「破産にもお金がかかる」── このジレンマを解決するために、いくつか道筋があります。

  • 法テラス(民事法律扶助制度) — 収入・資産が基準以下なら、弁護士費用を法テラスが立替え。返済は 月5,000〜10,000円 の分割で、生活保護受給中なら返済免除も可

  • 弁護士事務所の分割払い — 多くの事務所が3〜12回の分割に対応

  • 受任通知後のプール金 — 借金返済が止まる4〜6ヶ月の間に、その分を費用の積立てに回す

たとえると、「動けないほど消耗しているなら、立ち上がるための靴は法テラスが貸してくれる」。最初の一歩のお金が無い人にも、制度として支援の道が用意されています。

詳しくは「債務整理の費用はいくら?制度別の相場と払えないときの対処法」を参照。

自己破産すると預金や手持ちの現金もすべて取られますか?

いいえ、99万円までの現金と20万円以下の預金は手元に残せます(東京地裁基準)。これを「自由財産」と呼びます。

残せる枠(東京地裁基準)

上限の目安

現金

99万円まで

預貯金(複数口座は合算)

20万円以下

自動車

処分見込価額20万円以下

生命保険の解約返戻金

20万円以下

退職金(支給見込の1/8)

20万円以下

たとえると、ゲームのリセット時に「装備品の中で大事なものは持ち越せる」仕組み。引っ越し資金や数ヶ月の生活費は手元に残せるよう設計されています。

これを超える財産も 「自由財産の拡張」 を申立てれば、生活再建に必要な範囲で残せます。地裁ごとに運用が違うので、弁護士に確認してください。

自己破産は家族や職場にバレますか?

家族・職場ともに、ほとんどのケースで知られずに進められます

  • 裁判所からの郵便物 は弁護士事務所宛にできる

  • 官報 には載るが、一般人はまず見ない(金融機関の業務用)

  • 戸籍・住民票には載らない

  • 職場には 基本的に通知されない(裁判所から会社に連絡が行くことはない)

ただし、次のケースだけ注意:

  • 退職金の見込額証明 が必要 → 会社に証明書発行を依頼するため、勤務先には知られる可能性あり(ただし「個人事情」として扱われる)

  • 給料差押えが進んでいる → 既に職場に通知が行っているので、今さら隠れない

  • 同居家族の収入証明 が必要 → 同居の家族には協力依頼が必要

大半の方は家族に黙ったまま、職場にも知られず手続きを終えています。

自己破産は何回でもできますか?

法律上、何回でも申立て自体はできます。ただし、前回の免責から 7年以内 に再度自己破産すると、原則として免責不許可事由に該当します。

7年経っていれば再度の自己破産も可能で、実務でも一定数の事例があります。

たとえると、運転免許の取り消し後の再取得欠格期間のようなもの。一度失敗したら、しばらく経たないと再挑戦できないルール。

7年以内に再度厳しくなった場合は、個人再生任意整理 が選択肢になります。前回の自己破産を担当した弁護士に再度相談するか、別の事務所で第二意見を聞くのがおすすめです。

自分で自己破産を申立てれば弁護士費用を払わずに済みますか?

法律上は可能ですが、現実的にはお勧めしません。理由は3つ:

  1. 書類が30種類以上 あり、不備があると差し戻し・却下になる

  2. 本人申立は通常管財扱い になることが多く、予納金が 50万円超 に跳ね上がる地裁もある(弁護士付きなら「少額管財」で20万円)

  3. 督促が止まらない — 弁護士の「受任通知」がないと、申立てまでの数ヶ月間も督促・取り立て・訴訟が続く

たとえると、初めての引っ越しを引っ越し業者なしで全部やろうとするようなもの。理屈ではできるが、実際には荷物の半分が壊れて余計に高くつきます。

弁護士費用を払う余力がないなら、法テラス の立替制度を使うのが現実解です。

自己破産後、何年でクレジットカードを作れますか?

5〜7年で作れるようになります。信用情報機関ごとに登録期間が違います。

  • CIC (主にクレカ・信販系): 免責決定から5年

  • JICC (主に消費者金融系): 免責決定から5年

  • KSC (主に銀行系): 破産手続開始決定から7年(2022年11月から10年→7年に短縮)

通常、CIC/JICC が先に消えるので 5年でクレカ・信販系のカードが作れる ようになり、7年で銀行系ローンも組めるようになります。

ただし「事故情報が消えた = 確実に審査に通る」ではなく、カード会社の社内ブラックリスト に残っているケースがあります。過去に自己破産した会社(およびそのグループ会社)のカードは長期間作れない ことがあるので、復権後は 取引のなかった別系列 に申し込むのが現実的です。

詳しくは「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」を参照。

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